相模屋流の同業他社再建法
「ザクとうふ」の大ヒットから、
早や12年が経過しています。
当時はまだまだ無名に近かった
相模屋食料ですが、直近では
年商400億円を突破しており、
とうふ業界における圧倒的な地位を
一気に築き上げました。
見事な経営手腕を発揮された、
社長の鳥越淳司さん。
そのインタビュー記事が、
愛読誌『致知』の2024年9月号に
掲載されています。
鳥越さんは『ザクとうふの哲学』と
いう著書も出されており、
下記のnote記事でご紹介させて
いただきました。
このnoteでは、商品開発力に関して
書かせてもらいましたが、
『致知』の方では、商品開発だけで
なく、社長を引き受けた経緯から、
仕事に対する態度や哲学、将来の
展望に至るまで、興味深い内容が
詰め込まれた記事となっています。
すべてご紹介したいくらいの
素晴らしい内容なのですが、
中でも特に素晴らしいと感じた
ポイントをピックアップして
ご紹介しましょう。
それは、同業者の再建をどうやって
果たして来たかにまつわる話です。
相模屋が大きく成長して来た理由の
一つに、苦境に陥った地方のとうふ
メーカー(=同業他社)に対する
救済M&Aを進めて来たことが挙げ
られるそうなのですね。
これまでに再建を手掛けた会社は
なんと十二社!
うち十社は既に黒字化を実現し、
残る二社も黒字化に向けて尽力
している最中だそうです。
その際、相模屋食料から腕利きを
常駐派遣するようなことはなく、
既存設備と既存人材のままで
黒字化を次々と成し遂げていると
いうことに驚きました。
何をしたら、そんな魔法のような
ことができるのでしょうか?
苦境に陥った会社の現場に入ると、
たいてい熟練の職人さんが端っこに
追いやられて冷や飯を食わされて
いるそうです。
そして、そういう職人さんを十分に
活かせない、とうふ自体に関心の
薄いトップが、上っ面の数字だけ
見て経営しているところに、苦境の
原因があるということなのですね。
鳥越さんは、現場を大事にする人の
ようで、冷や飯を食わされていた
職人さんたちに活躍の機会を与え、
本来のものづくりを復活させると
いうことを繰り返すうちに、現場の
モチベーションが上がって、業績も
回復していったのです。
職人さんたちの強みにフォーカスし、
それをいかに発揮してもらえるか、
更に伸ばせるか、そこが経営再建の
最重要ポイントだと喝破し、そこに
注力して実際の再建を成し遂げて
きた迫力が伝わってくる記事でした。
なお、冒頭の鳥越社長の写真は、
相模屋食料のウェブサイトから
お借り致しました。