「パレートの法則」のウソ
「パレートの法則」という言葉は、
大抵の人なら聞いたことがあると
思います。
いわゆる「8対2の法則」とも
呼ばれることがある考え方で、
例えば「売上の8割は2割の顧客で
成り立っている」というような
説明を聞いたことがあるのでは
ないでしょうか?
実際のケースを色々と調べてみると、
ほとんどの場合「8対2」にならない!
という研究が、バイロン・シャープの
『ブランディングの科学』に紹介
されているのはご存知でしょうか?
彼が所属する南オーストラリア大学と
Ehrenberg-Bass Instituteという研究
機関が連携して、
企業向けにマーケティングのセミナーや
アドバイスのサービスを提供しており、
非常に数多くの有名企業がその顧客に
名前を連ねています。
そのセミナーを運よく受けることが
出来たのですが、その際に先ほどの
「パレートの法則のウソ」について
話を聞きました。
「8対2」の2割の顧客が、全体の
売上のうちどの程度を占めていると
思いますか?
8割より多いでしょうか?
少ないでしょうか?
もちろんケースバイケースである
ことは論を待たないのですが、
彼らの研究では、2割の顧客から
上がる売上は概ね6割前後だった
ということなのですね。
実際、先に紹介した本に出てくる
11の法則のうちの3つ目が、
「パレートの法則(60/20)」
と名付けられているのです。
この法則が意味することは
何なのか?
2割のロイヤル顧客を
大切にしなくても良い、
ということにはならないものの、
8割の売上を占めるのだから
とにかく手厚くケアをしろ、
という考えにも注意が必要だ、
そんな解釈で良さそうです。
2割の顧客ばかり相手にしていても、
せいぜい半分強の売上しか立てる
ことはできません。
すなわち、残り8割の顧客、
要はライトユーザーと言われる
人たちにも、常に気を配って、
自分たちの存在が忘れ去られない
ようにすべきですよ!
という主張なのですね。
この『ブランディングの科学』は、
これまでマーケティングの世界で
「常識」と思われていた数々の
考え方や法則の類に、科学的な
視点を持ち込んだということで、
新しい「バイブル」的な立ち位置を
獲得しつつある本です。
「エビデンス・ベース」すなわち
「証拠付き」ということで、
それが科学的なアプローチだと
いうわけですね。
ただし、「パレートの法則」については、
確かに数字で明確に証明されているように
思えるのですが、誰もがその結果を
見て行動し始めたら、早々に同じ
結果が得られなくなるのではないか?
そんな危うさを感じなくもありません。
昨日の記事ではないですが、
何ごとも鵜呑みにはせず、
常に疑う姿勢を忘れずにしつつ、
新しい考え方を自分の考え方に
取り入れていきたいなと思う
ところです。