見出し画像

トリックでもなんでもない、真っ当な教育法

「トリック」と言われたら、
「騙し」「悪だくみ」「まやかし」
みたいな意味合い。
だから、『TRICK』という題名を
見たときに、それが教育法の本だと
知って、一瞬キョトンとならざるを
得なかった。

しかし、この題名は、単に5つの単語の
頭文字をつなげたもの。
そして、それらの単語を見れば、
内容が至極真っ当であることは
容易に推測がつく。

「T」は「Trust」、信頼。
「R」は「Respect」、尊重。
「I」は「Independence」、自立。
「C」は「Collaboration」、協力。
「K」は「Kindness」、優しさ。


これら5つの価値観に沿って、
3人の娘を立派に育てあげた。
長女は、YouTubeのCEO。
次女は、カリフォルニア大医学部准教授。
三女は、バイオベンチャーの創業者で、
今は離婚したがかつてグーグル創業者の
セルゲイ・ブリンと結婚していた。
これを聞いただけで、この本は是非とも
読まねば!と思わずポチッとしたので
ある。

著者のエスター・ウォジスキーは、
パロアルト高校でジャーナリズムを
教える教師でもある。
当然、我が子を教える「TRICK」を、
学校教育にも適用し、素晴らしい人材を
数多育て上げてきた。
事実、カリフォルニア州の最優秀教師に
選ばれた実績もあるという。

この本の紹介文には、
「型破りでユニークな教育法」
とあるのだが、「TRICK」それぞれの
頭文字が表しているのが何かを見れば
分かる通り、決して型破りな価値観でも
なければ、ユニークだとも思えない。

しかし、あえて「型破りでユニーク」
だと言えることがあるとしたら、
その至極真っ当な価値観を、
あり得ないくらい頑なに、一貫して
守り通している
点ではなかろうか。

そして、この至極真っ当な価値観を
押し通そうとすると、世間一般で
通用している価値観とは相容れない
部分があるということに、今さら
ながら気付かされるのだ。

そんなとき、エスターは、自分自身の
信じるところに従って、価値観の方を
大切にしてきた。
そんな彼女に接した子どもたちは、
彼女を信頼し、自分に自信を取り戻し、
世間の荒波の中でもやり抜いていける
力強さを獲得していく。

『7つの習慣』をはじめとする、
自己啓発のスタンダードに戻れば、
どこかに書いてあることが多いと
いう評価もできるかもしれない。

しかし、シンプルに「TRICK」の5つに
まとまった価値観を、本の中に豊富に
詰め込まれている具体的な事例を
参考にしながら、子どもに、部下に
インストールしていけばよいことを
考えると、これはこれで一つの体系と
して大変に素晴らしい
ものだと感じ
入った次第。

書いてあることは、どれもこれも
理解しやすく、実行に移すのは多少
難しいものがあるにせよ、できない
ものではない。
しかし、往々にして、知っているから
といって、やっているとは限らないし、
将来やるとも限らない。
それでは、本を読んだ意味は半減する
どころか、ほとんど意味がない。

是非とも、行動リストに落とし込んで、
実際に子どもの、部下の反応を見て、
その効果の確かさを実感するべき
本で
ある。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。