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THE FIRST SLAM DUNK 三回目鑑賞~客席の少年と中村記者

三回目を鑑賞してきた!
一つの映画を劇場で三回見たのは人生で初めて。初回一緒に見た次男と、今回初めての小学生娘を連れていった。日曜の夕方の回でほぼ満席。公開から3ヶ月たってるのにスゴい。
笑い上戸の娘がちょいちょい笑うので、終盤の無音シーンで声出さないか不安になったけど大丈夫だった。そこはちゃんと黙って、集中して見てた。
今回私が一番印象に残ったのが、題目にも書いた客席の少年と中村記者だった。
あの客席でずっとゲームしてた男の子。お父さんが「すごいぞ、見ろよ」みたいに言ってもずーっとゲームしてた子が、花道の奇行「ヤマオーはオレが倒す」でやっとゲームから目を離して。終盤ではお父さんと一緒に固唾を呑んで試合を観てた。あれくらいの年頃の男の子の反応としてすっごくリアルだなぁというのもあるけど、作者が描きたかったのは「全然興味ない人が、ふとしたきっかけで観始めて気づいたら夢中になっちゃうくらいおもしろいバスケの試合」なんだと感じた。そういう試合って、現実のスポーツでも時々ある。最近だと東京オリンピックの女バス、ベルギーとの試合。夕食時にテレビでやっていて、何の前情報もないまま何気なーく見ていたら日本がベルギーに大差をつけられてしまって。あぁ、世界の壁ってやつかとか思ってたら日本が3Pでどんどん追い上げていって、最後の最後に逆転で勝った、まるで漫画みたいな試合だった。最初は家事をしながら片手間に見ていたけど、最後の5分はテレビの真ん前に座り込んで大声出しながら応援してしまった、あの感覚。
スポーツにはそういう「出会い」がある。あの客席の少年が、自分自身のスポーツ観戦体験とリンクして、そんなところにも光を当ててくる作者の感性は素晴らしいと思った。
そして中村記者。アメリカで沢北にインタビューしている記者が原作に出てくる「中村くん」だと気付いたのは今回初めてだった。一回目は全く何も思わずスルーしてて、二回目で沢北が旧知の人っぽい話し方してたり、客席に座った記者をわざわざ映してるのに気付いて「ん?この記者、もしかして私たちも知ってる人なのか?ということは…」となり、三回目注意していたらちゃんと「中村記者」とクレジットされていた!これは熱い!週刊バスケの記者でありながらバスケのことも選手のことも知らなさすぎて、「要チェックやわ」の相田姉さんにいっつも厳しい指導を受けていた中村くん。山王戦の前日も飲みに行って酔っ払って登場し、相田さんに「ちったぁあの子たち(山王の選手たち)を見習え!」とどつかれていた中村くん。山王戦後、「この試合をみたことが僕の編集者としての人生を変える」と話しても相田さんに信じてもらえてなかった中村くん。(この記事は単行本未確認で記憶のみで書いてるので、細かいセリフは正確じゃないです)
あの中村くんのその後を映画でみせてくれるなんて…!沢北の取材のためにアメリカまで行った中村くんの隣にはもう相田さんはいなくて。沢北の口調から、ずっと何度も取材をしてきたお馴染みの記者になっていることがわかって。中村くん、なんて立派になったんだ((涙))あの湘北VS山王の試合が、本当に中村記者の人生のターニングポイントになったのだろうと想像させてくれる、この演出はニクい。沢北とリョータが試合前に挨拶するシーンで、客席にいる中村記者のワクワクしたような表情をわざわざ映して「あの時の湘北と山王の選手が今からアメリカで対決するのか!」っていう見る側の高揚感を演出したのもニクい。それをさりげなくやりすぎて初見では気付かないくらい控えめなのもニクい!
観戦した人の人生にまで影響を与える試合は本当にあるし、作者はそれほどにおもしろいバスケの試合を描きたかったんだろう。そして見事に描いてみせたんだ。


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