過去の歴史を引きずらない

元GE会長、ジャック・ウェルチ氏がお亡くなりになりました。
シックスシグマは何かの書籍で読んだことはありましたが、彼自身の経営哲学や、彼の書籍は読んだことはありません。しかし、彼の秘書・補佐役だったロザンヌ・バドゥスキー氏の本はちょうど先週読み始めたところでした(超カリスマ経営者の秘書が、秘書像として私のお手本になるかは謎ですが・・・読書後に考えたことは別途整理してPOSTしようと思います)。その内容の一つに

"過去の歴史を引きずらない、「今日」何をしたか。"

というフレーズがあります。過去より、未来の方が重要、という意味合いです。議事録もあまり意味がないとか、過去の失敗に執着しない(ただしそこから学ぶ)とか、そういう類です。議事録はついつい癖でとってしまうのですが、確かに、見返すことは少ない。投入工数に対するリターンは再認識する必要がありそうだなーとか思うこともあったのですが、ふと、最も無駄だと思ったことがありました。事業部門にいたときのことですが、過去の業績の分析です。
私の企業は大企業なので、それなりに組織改編があります。当然、事業部の顧客なども変わります。そうすると、事業の規模が変わり、単純に過去と現在の比較ができなくなります。残念ながら数年おきに組織改編が行われると、どんどん比較が困難になってきます。私がいたとき、過去10年さかのぼって、どう事業構造が変化しているのか分析したい、というオーダーを受けたこともあります。そうなると、組織改編のときの入れ替えなどを計算しなければいけない、さらには、制度変更の影響を反映させたり、とにかく大変な作業になります。データ集めるだけでも大変。社内システムがそういう作りになってないんですから。

今思うと、過去10年、そこまで遡った分析にそんなに価値があるのでしょうか?事業構造を分析する、というのはワード的には重要な気がしますが、とにかくめちゃくちゃ工数を使います。その工数を過去の分析に投入してどれだけの価値を生むのでしょうか?その工数を現在・未来のことに使えば少しは利益が増えるのではないでしょうか。過去10年まで遡らなくとも、そこまで緻密に条件をそろえなくても、ある程度妥協したデータでも事業構造は見えてきます。あとは外部環境を整理すればそれなりの戦略オプションは出せるはず。なのに、過去分析に大量のリソースを割く。。思えば、そういう分析も、今期業績悪い言い訳、のためだった気がします。
なぜ当時それに気が付かなかったのか。どうしても事業部にいると、与えられたミッションに専念していると、近視眼的になってしまうこともあります。けど、結局は言われたことをやる体質に染まっていたんだと思います(今もその癖が抜けてないと思いますが、抜け出したい)。否定する思考があれば、何のためにやるのか?をまず考えられたはず。「これめっちゃ工数必要ですよ。言い訳作りに投入するより、違うことに投入した方が良くないですか」と言えなければいけない(言い方はさておき)。部下たちは、「これやって意味あんのかぁー」とか思っていたはずです。私も部下を率いるリーダだったので(今もですが)、部下の工数を無駄に使ったという反省を今しています。

事業構造の分析が悪いと言いたいのではありません。ただ、過去の分析は利益を生まない。利益にを生むための戦略のための分析です。それにどれだけの工数を投入するのが妥当なのか、そのあたりの必要性とバランスを見極められるようになりたいなと思った次第です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?