秘書の働き方改革

社長秘書だけでなく、全般的な話です。

働き方改革ブームですが、当社もご多分に漏れず、全社として働き方改革を推進しています。秘書グループの長も、施策を検討し、展開し始めていますが、なかなか秘書メンバーは行動を変えません。とくに、テレワーク。「自分の担当する幹部が会社にいるのに、家で仕事なんてできません。」「自分の担当する幹部は出張中ですが、会社にいないと電話取れませんし、その他業務も回りません。」などといった具合。秘書グループとしては、秘書にスマートフォンを配ったり、今まで1人の役員に1人の秘書だったところを、2人の役員につき2人の体制を組みバックアップ体制を作る(道半ば)などしていますが、うまくいってません。

最近、部下の秘書と会話したり、秘書グループの管理職と話をしたりしていて、もう少し働き方改革の具体を議論しなければならないと思います。とくに以下3点。

1. 働き方改革の目的
2. 目的達成のための施策(設計)
3. 施策の展開の仕方(モチベーション)

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1. 改革の目的
何のために改革するのでしょう。現状ではだめなんでしょうか。なぜテレワークをしなければならないのか。

会社側から見れば、業務効率化というのは追及しなければなりません。業務効率化は企業として、組織として大きな目的になりうるとおもいます。RPAも広まりつつあり、AIも秘書の職を奪うかもしれません。では人間の秘書がなすべき業務は何なのか?ほっとくと職がなくなってしまうかもしれない。スケジュール調整は自動化、AIがそのうちやってくれるかもしれません。では人間がなすべきイマジネーティブな秘書の業務とはなにか。そういう発想は必要かと思います。「改革」というならば効率化だけでなく、業務Output強化も伴わなければならないと思います。

一人間からすると、自分のプライベートと仕事の両立は重要なテーマです。通勤ラッシュいやだ。通勤時間がもったいない。そういう意見もあります。けどそれはいずれも、時間という自分の限りあるリソースを有効に活用し、幸せな生活を送ることが目的だと理解しています。これも立派な目的で、自分の人生が豊かになると、仕事のモチベーションも上がり、会社にとっても良いことです。

2. 目的達成のための施策(設計)
すべては目的にがあり、施策があります。手段を目的にしがちですが、それでは目的が達成されないことがあります。特にフリーアドレスやテレワーク、社内でも手段が先行している節があります。目的がなければそれらの施策が正しいのかわかりません。すべての職務の人にフリーアドレス、テレワークは正でしょうか?秘書という職務然り。

もっと言うと、働き方改革はかなり相当なスキルと覚悟がいると思います。フリーアドレスとテレワークを導入し、感覚的にオフィスがきれいになったとか、時間ができた、で盛り上がってますが。本当に業務効率化とES向上につながっているでしょうか?本来であれば、目的を設定し、その目的に準じて働き方改革するならば、業務プロセスから見直すべきです。要はBPRです。BPRコンサルがいるくらいですから、相当な知見、スキルがないと上手くいきません。秘書においては、秘書業務をどう変えるからフリーアドレスを導入しよう、テレワークの時はこういうプロセスにしよう、と業務プロセス設計するわけです。それがなく、既存の業務のままいきなり導入されても、現場が困るのは当然です。この業務プロセス設計、BPR部分がないと、感覚的な成果で終わります。

さらに言えば、大企業にとって事業部レベルで働き方改革は無理です。できたとして、働き方改善、レベル。なぜなら業務プロセス改善には全社システムが絡むからです。全社の仕組みは事業部だけでは買えられません。全社として、業務プロセス改善を並行して進めなければ、結局はフリーアドレスとテレワークで盛り上がって終わり。ES向上につながるならいいのかもしれませんが、本当に成果が出せてるのでしょうか。働き方改革は、BPRです。簡単ではないので、手段先行ではなく真面目に設計していく必要があります。

3. 施策の展開の仕方(モチベーション)
肝はモチベーションの上げ方だと感じています。若い人ほどピュア、柔軟で、とりあえずやってみよう、となります。そういうメンバにはどんどん意見を出してもらえばいい。一方、昔から秘書をしている人は自分の中の秘書像のTOBEがあり、それが時代と逆行していたりします。秘書グループの先輩が言っていた言葉が刺さりました。「秘書は常に席にいろ、トイレも我慢しろ、と教育を受けてきた人たちに、いきなり家で仕事しろと言っても無理がある」。確かにそうです。全く違う要求をするわけなので、かなり意識の変革が必要です。1.の目的を言ったところで、腹落ちするでしょうか。テレワークをとっても、プライベートより仕事優先の人もいます。言い方悪いですが、プライベートでそこまで時間を必要としていない人もいます。そういう人に、1.の目的を伝え、会社に来るな、家か他のオフィスで仕事しろ、と言って素直に受け入れられるでしょうか。2.は技術的に難しいですが、3.のこの問題は実行上、最終的な壁になります。1.がしっかりしてなければまず進みませんし、1がしっかりしてても壁になります。

追加で課題を上げるとなると、幹部の意思。幹部が自ら実行しないと、秘書も変われません(秘書だけじゃないですね)。口では、秘書にテレワークしていいよ、というかもしれませんが、昔から秘書していた方にとっては、行動に移すには敷居が高すぎるでしょう。幹部が率先して実行すれば、秘書も動きやすくなります。全社としても、従業員が改革に取り組む意欲がわく一因になるはずです。

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働き方改革は盛り上がってますが、秘書という職務においては導入ハードルが高いと思います。ただ、改革は必要だというのも事実と思います。当社の秘書グループが働き方改革するためには、かなり議論し、設計し、他部門も巻き込んで進めなければならないと認識しました。

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