終身雇用の終焉

最近ちらほらとリストラのニュースを目にします。黒字リストラも、今日の新聞で出ていました。私の会社も、過去リストラをやったことがありますが、その際の先輩の言葉が忘れられません。

「出される人は可哀そうだよ。だって今まで育成されてこなかったんだから。」

高度成長期、多量採用の時代、仕事にあふれ、我流でもなんでもイケイケどんどんだったのだと思います。個人でいろいろ勉強してた方もいたと思いますが、会社としては優秀な人材作るために手厚く仕組を作ったり、というのは後手だったんでしょう。成長期は成長にリソース裂くのが正しいのもそうだと思います。ただ、経済が滞り、一部では事業がシュリンクし、それまでの体質を維持できない。そうすると当然、リストラせざるを得ないわけですが、個人個人のスキルが備わっていないと、当然放出されても仕事は見つかりません。市場に出たときにアピールするネタがないんです。そんな状態を見かねて、上記先輩の発言なわけです。

私は先輩の意見に半分納得し、半分納得してません。納得しているのは、会社側に人材育成するスキームがない、ということはよろしくないと思います。一方で、従業員が「育成される」という受動的な態度は違うと思います。従業員は一人一人、自分のことは自分で考えて生きるべきで、ビジネスマンとして金稼いでいくならば、自分でのキャリアプラン、自己研鑽をすべきです。自分の何を磨くのは自分の人生次第で、経営スキルであったり、将来農家を営みたいならそういうスキルを学べばいいと思います。

このような意見は、今でこそ当たり前のことかもしれません。ただ、当時は時代が違ったのも事実だと思います。その元凶は「終身雇用」という制度だと思います。自分が入った会社は、定年まで面倒見てくれる。だから、会社とともに生きるんだ。会社が死なないように頑張る!みたいな。そうなると、連帯責任、優秀な社員がダメな社員を引っ張る構造になる。優劣ついても、劣は暮らせちゃうわけです。海外は、たとえばアメリカは事業撤退とともにうん千人レイオフとかできます。けど日本はそれができない。不要な人員を抱え、利益を削る。その制度に守られたぬるい社員もヌクヌクして成長しない。

時代は変わり、日本でも終身雇用はあるものの、人材の流動性が高まり、リストラも増えている、黒字ですらリストラできる時代。組織としては、人の入れ替えがしやすくなったのは良いことだともいます。でも世界と比べるとまだまだこの悪しき終身雇用が足を引っ張っているのも事実です。

私は日本企業がより強くなっていくためには、終身雇用をやめて、一人一人が強くならざるを得ないような環境に変わっていくしかないと思います。私もできればヌクヌクしていたい(笑)。けれど、もうその時代ではないんです。みんなで助け合って共に幸せになる社会は、成り立たなくなりつつある。残念ですが。格差が生じるかもしれないが、一人一人が自立して、成長を目指すことが求められる社会が、現代の主流なのかと思います。

なぜ、みんなで助け合う社会が成り立たないのかは、もう少し考えてみたいと思います。

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