詩「捜索」
驟雨の如し葛藤を防ぐ傘は
どこにあるのか
振り分けた白と黒
善人と悪人を生みだす判定は
容易に入れ替わる
二項対立の円環を閉じる留め具は
どこにあるのか
反芻するパターンの先の
失望にそっと目隠しをして
苦悶の末、獲得した
緊張感を雲散させる環境
内なる扉をノックし、
確認する不在の事実
空白をみつめなおすうちに
探しものは見つかるだろうか
鉄塔からのびる五線譜に
夕闇が流れ込み、
美しい不穏を奏でだす
細く湾曲した月は
善悪に依らない
中立の面持ちで休符役を務めている
微弱な月光が炙りだす本心
結末はいつも、灯台もと暗し
ああ、きっと
何も本気では探していない
少なくともいまはまだ……
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