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#うちの姉「世界は私を中心に回っている」

私の母は姉の事をたまに「気狂い」と言う。

この言葉があまり良くない言葉、使ってはいけない言葉、可能性として差別的な意味をも持ってしまう言葉だと重々承知した上で使っている。

実際どういう意味なんだろうと調べた事がある。
気狂い精神状態が普通でなく、正常ではない言動をすること。
全くもってそのとおりだ。

もちろん、姉にも教えてあげた。
本人は「ふーん」と。
こういう話を他の人にすると「何も言わないだけできっとお姉ちゃん辛いよ」とか「悲しいんじゃない?」とか、まあ姉を知らないとそうなるよねって。

でも、ほんとにうちの姉はそんな「気狂い」と言われたくらいで悲しむような人ではない。
むしろ「わざわざ調べたの?お前は偉いな」って褒めて?くる余裕さえある。
いやいや、めっちゃ悪口言ってんですけどー!って突っ込ませてくれる。

そもそも「ふーん」と言ったのにも姉なりの理由があったそうで「別に私の精神状態はこれで普通だと思ってるし、言動も普通。だから気狂いと言われたところで私には関係ない」と。
普通じゃないよ?って返したら
「それはお前のものさしで測った場合な」って
(え、こんな強い人見た事ないんですけど。)
(間違って尊敬するとこだった)って思う事が何度もある。

家族の紹介に記載した「世界は私を中心に回っている」を堂々と言えるタイプ。
これに関してもこの言い方は少しだけ違うみたいで、要約すると
「私が生きてる世界なんだから自分が中心で当たり前」
この一文だけ見るとやっぱぶっ飛んでるなと感心する。

姉の言う世界=自分が生きている環境や感じる事見えるものとこんな感じの意味らしく、
「お前は自分の部屋の掃除の権利を持ってるだろ?掃除するでもしないでもお前の世界(部屋)を自分がやるやらないを決める権利を持ってる。他人の部屋の掃除なんかしないだろ?その世界はお前を中心に回ってるじゃん」って。
「そもそも他のやつの世界なんか知らないし、自分の世界だけを考えて何がだめなの?」

こんな風に言われる度に妙な説得力を感じて納得しそうに毎回なる。
でも言わせてくれ
世界が狭すぎる
私の世界は部屋だけではない
この時点で正常な言動ではない事をきっと私の考える普通の人たちなら分かってくれる、はず。

でも、その妙な説得力は時に私の考えや生き方を楽にすることもしばしば。
私の世界は部屋だけではないけれど、確かに物事を広く考えすぎなんじゃないかと思うことがある。

視野を広くしましょうとか他人の事を考えましょうとか、広げすぎて自分の事を蔑ろにはしてないだろうか?と。
別に自分に自信を持とうとか自己肯定感を上げようとかの話ではないけど、
たまには自分中心の考えや自分が生きてる世界をもっと狭く、絞って考えてもいいんじゃないかと。

職場の上司の事も考えて、後輩の事も考えて、友達のことも考えて。
下手したら隣に住んでる人のこと、道ですれ違った人、知らない人の事まで考えているという事は実は結構あるんじゃないか。
いやいや、そこまでいろんな事を考えなくてもいいんじゃないだろうか。

思いやりは大事だし、円滑に物事を進めるなら考える事はたくさんあるけれど、別にそれを誰かに強要されてる訳でもなし。
たまには自分本位になってこうしたいああしたいと言っても、思いの外周りは気にしてなかったりする。
そう、きっと気にしすぎなんだ。
逆に姉は気にしなさすぎなんだ。

そんな気にしなさすぎな姉は、びっくりするほどマイペース
キング・オブ・マイペース
マイペースな人ってゆっくりしてるイメージを持ってたけど、姉のマイペースはなんかちょっと違う。
ほんとに自分のペースで生きている感じ。
自己中心的とはまた違う。

人は人、自分は自分。と一刀両断された考えを持つ姉
「自己中は他人に迷惑をかけながら意見を通そうとするんだよ」
お姉様!自宅警備員という職については十分に迷惑かかってます!
「仕事しなくていいって言ったのは親だからそれを迷惑って言うのはおかしい」
た、確かに。
(うちは親公認の自宅警備員です。真意は違うと思いますが)

屁理屈と言われればそれまでになるけれど、決して姉の発言すべてがズレているとも思わなかったりする。

「世界は自分を中心に回っている」
こんなこと、声を大にして言ってみたいものだ。
厳密には言ってみたいというより、言えるくらいの自信やブレない心を持ちたいなと思う。

だがしかし、うん、やっぱりうちの姉はぶっとんでる。

ぴん


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