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ベートーヴェン その真実

今日はweb3おばさんはお休みします。
以前にどハマりして、イベントにも行ったほどの書籍にまつわるTV番組があった。いや、この原案は絶対この本だろうと思った。

ベートヴェン捏造|かげはら史帆

玉木宏 音楽サスペンス紀行 引き裂かれたベートーヴェン その真実
[BSプレミアム] 2022年11月05日 午後9:00 ~ 午後11:00 (120分)

すでに放映済みで、今日ゆっくりと録画をみたのだが、世界レベルでベートーヴェンの人物像はねつ造されていたということ。びっくり。
東西冷戦の舞台である東西ドイツ、そこで繰り広げられたベートーヴェンの遺物(文献)の取り合い。スパイが暗躍してまで資料を盗み出していたなんて、真実は奇なり。

ドイツの人々にとってのベートーヴェンは、偉大な音楽家で戦後の復興の心の拠り所だ。東側はソ連がバックついて、ベートーヴェンの人となりを知ることができる資料=会話帳を手に入れたいと思い、それを知った西側のスパイがベルリンの図書館からその会話帳を盗み出し、当時の西ドイツ、ボンへ持ち込んだ。
フルトベングラーをも抱き込もうとした東側だが、それも叶わず。その後、西側に現れたカラヤン、ビジネスとしてベートーヴェンの音楽を広めることに成功し、また世界中にベートーヴェンを広めることとなった。そうだったのか、カラヤン、自分が格好よく見えるように、ベートーヴェンがより偉大に見えるように、分かってやっていたんだ、うわーすごい、そんな言葉しかでない。

そして、元祖ベートーヴェン像の捏造者、アントン・シンドラー。彼が会話帳に改ざんを加えた事が映像ででも広まってしまった。
最初にベートーヴェンの神格化を狙った人物だったということか?
後生の国家レベルでのベートーヴェン像の取り合い、神格化しての利用を考えると、シンドラーが行った改ざんは、逆にベートーヴェンへのゆがんだ愛情の末の行為だったのではと思ってしまった。
彼の改ざん行為は、会話帳の信憑性を少しだけ揺るがしてしまったのでは?どこまでが真実で、どこまでが改ざんなのか。消し去って闇に葬った会話はもう戻ってこない。

そして、東側の研究家によるベートーヴェン楽譜の校訂作業。直筆譜と当時の書き写された楽譜などを比較して、よりベートーヴェンの意思に沿った楽譜へと校訂し演奏を行った。この綿密な作業は、なんとベルリンの壁崩壊とともに頓挫してしまったそうな。
ふと、これまたその当時の「音楽」を取り戻す機会を失ってしまったかもしれないと思った。

最期、番組の締めくくりでは、第九の新しい解釈。バッカス礼賛、ああ、それもよいなぁ。年月を経てベートーヴェンの解釈はさまざまに手が加えられたのだが、私は自分の耳で聞き、自分で演奏しながら、自分が感じたようにベートーヴェン像を描いていこうと思う。隠されていた事実が明るみにでても、我々はきっと、今までにない自由な気持ちでベートーヴェンに接することができるようるだろう。

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