ニュージーランド パイロットとしてのキャリアアップ 8
以前に、コロナウィルスの影響で、ニュージーランド国内の航空会社、使用事業会社は瀕死寸前と書いた。もちろん、そこで働いている人たちも、解雇になったりするのは当たり前だ。残念ながら、パイロットもキャビンクルーも含まれる。完全に倒産してしまったら、そこで話は終わりだが、そうなる前に、会社の急激な縮小が行われる。会社の縮小が始まると、要はリストラが始まる。ニュージーランドの場合は基本的に、Seniority 入社順位で話が進むことが多い。Seniorityで下から削られてしまうのだ。だから、平常時であっても、パイロットもキャビンクルーであってもこのSeniorityというのを過敏なほど大事にしている。これで解雇になるかならないかが決まってしまうからだ。さて、運よく残ればラッキーだが、残れない場合はどうなるのか?そう、今、ニュージーランドはリストラ時代に入っているのだ。
ニュージーランドの航空業界は管制官も含め、強い労働組合があり、入社と同時に強制加入ではないが、加入することがほとんどである。もちろん労働組合はこういった事態の時の為に、色々会社と交渉してくれていて、解雇にならないように色々調整する。例えば、早期退職希望者を募ったり、減給、Leave without pay (一時休業?)同業他社への紹介、色々ある。それも全て使い果たしたうえで会社の方も最終的に解雇する。すぐに、「お前ら明日から、解雇!」とはならない。
「じゃあ、どれだけ解雇すれば良いのか?」は各航空会社の将来のPrediction、これからの政府からの援助等で決まるが、今のロックダウン中の状況が永遠に続くわけではないので、ロックダウンが全て外れた出口あたりに立った時の航空需要で考えているようだ。今現在、確かにパイロットは必要ないので解雇することが会社を存続させるうえで必要だが、それだと、航空需要が戻った時に、パイロットがいないので飛行機を飛ばすことができなくなってしまう。再度、パイロットを雇用して一から訓練したら、何年もかかるし、莫大な金額を会社が受け合うことになり、航空需要に間に合わなくなる。なので、ちゃんとパイロットを確保したまま、体力温存を現在模索している段階なのだ。ちょうど、冬眠みたいな感じだろうか??ニュージーランド航空も387人のパイロットを解雇する方向で動いている。Redundant という言葉で書いてあり、これは解雇( Cut Off )とは少しニュアンスが違うのだ。Redundantは一時的な解雇というような感じで、将来会社が景気回復した時に、最優先で面接無しに雇い直すことを条件としている。また、最近ではFurloughといって、アメリカでは一般的?らしいのだが、これも一時解雇なのだけど、Redundant と同じく雇い直された時には、 雇われていなかった期間のSeniorityを保持することができ、さらに、その期間も働いた期間としてカウントされるしくみ。ただ、これを使うと、退職金がもらえない。
私個人が一番嫌だと思うことは、完全に解雇( Cut Off )されて、同じ会社に再就職する際に再度、面接等最初からやり直すことだ。これだけは絶対に避けたい。これはもう時間と労力の無駄。だから、再度、面接をしなくて良いこのFurloughは、一つの安心材料だ。戻れるところがあるのは助かる。
Seniority が低い人のほとんどはまだ若い。だから退職金よりも、再就職になるまでの期間をどうやって食いつないでいくかが問題となる。個人的な感想はキャリアチャンジする人たちは、ほとんどいないのではと思う。
ニュージーランドでパイロット職を得る場合は、これらのredundancy が全て再雇用された後からの話になるが、私の感覚だと3年~5年以内に再度大きな雇用のチャンスがNZに来ると思う。Seniority の強い国で、5年後くらいに問題になるのは、ニュージーランドの団塊世代の大量退職と重なる。今から免許を取得したり、準備すると丁度良い時期かなっと私は思う。
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