三題噺②

練習をしてみる。多分やり方間違ってるよって話もある。つづけることが多分大事なので,やってみる。

※ ライトレというアプリを使ってお題を決めています。

お題:タレント ハーレム 単位


高校生の時,周りにいる異性の数をタレントで比喩する遊びが一瞬流行った。

”周りにいる”というのは,異性の友達でもいいし,異性の多い部活にいるならその部活のメンバーをカウントしてもいい。モテないやつはふざけてクラスメイトをカウントして流行りのイケメン俳優を自称していた。

モテる奴を冷やかす意味で流行った表現だったから,20人くらいいれば今をトキめくイケメン俳優1人分と言う感じ。俺は当時,吹奏楽部に入っていたから,よく「キムタク」と1単位として,2キムタクくらいはあった。


しかしそれは所詮単位の話でしかなく,残念ながら俺の顔はキムタクとは程遠い所にあって,「2人組のお笑い芸人の不細工な方」と友達に言われるほどレベルの不細工だった。

かろうじてギャグセンスはあったので,学生時代はモテを捨てて笑いを取って生き延びた。

しかしずっと,そんな自分が嫌いだった。俺は,みんなに認められるようなカッコいい男になりたかったのだ。

だから大学受験は死ぬほど努力して,身の丈に合わない大学に入った。そしてそこでもうんと努力して,また身の丈に合わない会社に入った。

会社に入ってからも周りの優秀さに打ちのめされることが多かったが,そこは持ち前の空気を読む力とギャグセンスで埋めた。

そうしているうちに上に気に入られ,出世し,取引先の懇意にしていたやつに誘われ起業して,今や年収2億にもなった。

テレビなんかにも時々出て,金持ちを肩書にできるまでになった。

ここまで来るまでに世の中は俺が子供の頃よりもぐっと貧しくなっていて,顔が美しい事よりも,金持ちであることの方が重要なステータスと化していた。だから俺の肩書は,他の何よりも輝きを放っていた。

ある日近所を散歩していた時のことだ。

俺の横を小学生くらいの子どもたちが駆けていった。そのすれ違いざま,1人の子が「あっくん家って金持ちなんだって!いち■■(俺の名前だった)くらいだって!」と言った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?