三題噺⑧

練習をしてみる。多分やり方間違ってるよって話もある。つづけることが多分大事なので,やってみる。

※ ライトレというアプリを使ってお題を決めています。

お題:期待 命 争い


自分の残りの命を妹に分けて,2人で同じ長さの時間を生きていければよかったんだ。でもこんなことになるなんて。

俺は土手の草原に寝転んで,川の向こうを見ていた。

数々の危険をかいくぐって俺が『なんでも願いをかなえてくれる』という魔術師の所にたどり着いたのが1か月前。そして魔術師が言う無理難題を叶えて,俺の願いを叶えて貰ったのが3週間前だ。

相当手際の良い仕事をしたつもりだった。たった一人,親も親戚も友もない孤独な俺の,唯一守るべき存在,心の支えである大切な妹と,幸せに生きていけると期待していたんだ。

でもダメだった。あんなに忠告されていたのに。願いを言う時に大切なのは「誰が,どこで,何を,いつまで/どこまで」を全て正確に伝えること。願いってのは契約だから,契約書書くつもりで行かなきゃいけないって,あの汚い身なりの爺さんは丁寧に教えてくれたのに。

俺は頼み方を間違った。川の向こうで煙が上がっている。命を取り合って争いをしているんだ。

妹はすやすや寝ているところを,病院で一番早く”気づいた”爺さんに取られて死んだ。そして俺はその爺さんから腹いせに奪った。

もうすぐこの世界はディストピアと化すだろう。地獄にも仏というか,あの魔術師の粋な計らいか,奪える形に変化した命は美しい。俺は妹の命を太陽に透かした。

俺が永遠に生き続ければ,妹と生きたことになるのだろうか?

俺はこの輝きを見続けるためだけに生きようと決めた。





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