三題噺①

練習をしてみる。多分やり方間違ってるよって話もある。つづけることが多分大事なので,やってみる。

※ ライトレというアプリを使ってお題を決めています。

お題: 沈黙の 大雨 両親


窓もドアも閉め切った僕の部屋は,とても静かだった。窓を開ければ鈴虫がうるさいだろう。しかし,雨戸まで閉め切っている僕の部屋は沈黙のまま,永遠にこのままなのではないかと思うほどだった。

僕はその時が留まったような部屋のベッドに横たわり,天井を見つめていた。

その時だった。天井から大きな女の顔が出てきて,僕を見つめた。普通の人間の3倍はあるであろうその女の顔は,真っ白に塗られていて目だけか部屋の照明を反射し輝いていた。

女の見開いた目から,何かが零れ落ちた。涙かと思ったが,女の顔はうすら笑うような表情を湛えている。

しかし目からは次々としずくが落ちてくる。これはいったい何なのか。僕がおびえながら見つめていると,その女の顔の横からもう1つ同じ顔が出てきた。そして同じようにうすら笑いながら,目からしずくを落とした。

唖然としてみていると,次々と同じ顔が出てきて,天井はあっという間に女の顔だらけになり,部屋の中が豪雨の最中のようになった。

俺はさすがに恐ろしくなって,叫びながら部屋を飛び出した。

部屋を飛び出した俺はリビングに転がるようにして入った。

目を丸くして俺を見る両親。そして,見知らぬ黒い服をまとった男と,テーブルの上の,よくわからない物。

札のようなものや,神棚に似た何か。よく見れば見知らぬ男も牧師じみた服を着ている。

母親が口に手を当て,目からほろほろと涙をこぼしながら俺に駆け寄っていった。

「やっと部屋から出てきてくれたね」

俺は見知らぬ男の足元に置かれたカバンの印字を見てすべてを理解した。

ー 引きこもり救助隊 ー


おわり

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