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脱毛サロン

少年期の悩みの1つは、体毛が薄いことでした。特に腋からなかなか毛が生えず、育毛剤を塗ったことすらあります。痛くてたまらなかったですが、結局、43歳になった今でも腋からはヒョロヒョロとモヤシ程度の毛が伸びる程度です。10代の頃はあれだけ気になって悩んでいたのに歳を取るに従い、どうでもよくなりました。

とは言え、どうでもいいと言いながら、脱毛サロンのカウンセリングを受けてきました。皮膚がもともとあまり強くないので、顎まわりを永久脱毛してしまうとよいのではないかと考えたのです。

カウンセリングしてくれた男性は落ち着きがなく、不自然な笑顔と声の調子で、モテないナンパ師のようでした。

「やっぱり、ローランド好きですか」
「別に嫌いではないですが、別に...」

「へへへ、やっぱツルツルっすよね」
「あ、そうですね。でも顎まわりだけでいいんです」
「ですよねですよね、ツルツルっすよね」
「...はい」

「え、43歳!若いっすねえ!!言われますよね、えへへ」
「そうですね、よく言われますね」
「自分、35歳なんすよ!若いって言われるんですけど、いやあ、若いなあ」
「そうですね」

もうちょっと静かにきちんと話を聞いてくれる人、丁寧な会話をしてくれる人。もしかするとこの世界中の脱毛サロンには、そんな人は存在しないのではないか。そんなことを思うぐらい、軽薄さに疲れてしまいました。淡々と会話をして、見積もりをしてもらってお店を出ました。金額はそんなものかなと思いましたが、あの空間で過ごすことで、私の心身はどうかなってしまいそうです。

こういうことになるのはわかっていたのに。コロナ前ならこういう余裕もなかったな。でも、彼はどこに向かっていくんだろう。そして、僕もどこに向かっていくのだろう。

そんなことを考えたある日のお昼でした。

見た目が若いと言われる機会は多いので、言われる側としてはまったく嬉しくないのです。お世辞のつもりかもしれませんが、不愉快にもならないものの、そうですねとしか思いません。ジャイアント馬場に背が高いですねとか、安達祐実に童顔ですねとか、不毛な発言です(脱毛サロンだけに)。

「見た目若いって言われるかもしれませんが、ちょっと最近、老化が気になってきているんじゃないですか。皮膚のこの辺りが...」とか言ってくれるような。そういう人が営業すると、高い成績残すと思うんですけれどね。

ヨガやピラティスなどでも会社員として働いている人など、回数券をお薦めするなど営業もする人もいると思います。結構、ドキッとした人いませんか。私は営業活動しない方がヨガやピラティスはいいと思うんですけどね、なんとなく。

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