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「セラピストを試す」

昔、催眠療法のある先生が「クライアントの中には、セラピストを傷つけることで試そうとする人がいる」という話をされていました。ボディワークの世界においても、少数ですがそういうクライアントに出会います。

意図して試してくる人もいれば、意図せず試してくる人もいます。また、過去の父親であったり、学校の先生であったり、深い関係にあった人(兄弟、彼氏や先生)の亡霊を重ねて、攻撃されることも覚悟しなければなりません。

セラピストはそれを許し、受け入れていく度量が求められます。仮に失礼なことをされ続けたとしても、もし怒ってしまったのなら、セラピストとしては失格です。そういう言動をクライアントがする背景を圧倒的な観察力によって、深い愛によって受け入れられなければなりません。腹を立ててしまうのは、観察力の欠如に起因します。そうなってしまうのは、セラピスト自身が未熟だということです。

良いセラピストになるためには、観察力を磨いていく必要があります。そして、状態管理が重要です。自分が金銭的に困っていたり、人間関係で悩んでいたり、精神的に余裕がなければ、クライアントから試されると大変です。普段受け入れられることが受け入れられなくなったり、気にならないことが気になって腹を立ててしまったりします。

セラピストは常に、一定の余裕を持っている必要があります。安定感が大切なのです。ですが、不可抗力な出来事によって、誰もが余裕がなくなってしまう局面が出て来ます。単純に風邪をひいてしまった時もそうでしょう。健康状態が不調になると、心理的にも影響を受け、セラピーの質にもそれは反映されます。友達と喧嘩をしてしまったり、人間関係のトラブルによっても、同様に強い影響を受けてしまいます。ですから、普段の生活でも不安定にならないように、セラピストは博打を打つような生き方はしてはいけません。

そして、余裕がなくなりそうだと思ったら、早めに休む必要があります。強引に時間を作って休暇するべきです。その空間から距離を置き、思考を離し、自分の余裕を取り戻すことを優先しなければなりません。それは贅沢なことではなく、良いセラピストでいる為のクライアントへの誠意です。

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