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展覧会レクチャー(新)

先月から開幕いたしました新しい展覧会。「平安のやきもの」テーマは観てそのまま、『平安時代』をやきものから観ていこうという展覧会ですね。
展覧会の構成は四章立てになっており、奈良時代末期から鎌倉時代前期も絡めて『平安時代に陶磁器の世界で何が起きていたのか』を一覧できる意欲的な展覧会です。今回出展リストは作成していませんので、そちらのデータは図録を是非ともお買い求めくださいということで。(笑)
展示室内は基本的には撮影可能となっています。数点撮影不可がありますのでご配慮ご協力お願いいたします。
入り口で配布されているのは、国内と中国大陸の各窯の見取り図。読み方などが難しくてなじみのないものが多いのでキャプションを読むときにご利用くださいませ。

第一章『奈良時代からの潮流』

入り口正面ケース内には、緑釉と灰釉。平安時代を代表するやきものです。向かって右側の緑釉香炉は、透かし彫りの入った遠目で観ても非常に美しい作品です。(雑誌で見られた方もいるかもしれません)左側の灰釉四足壺は、展示室内にモデルとなった中国製品の展示がありますがこちらも非常に端正な作りで、入り口からすでにお客様は立ったりしゃがんだり、じっくりと眺めています。その次のケースには平安時代にみられる器の代表例を並べて展示がしてあります。いわゆる土師器、須恵器に表面を炭化させて作った黒色土器。前時代から引き続いて使用されていたそれら日常の雑器と、主に寺院や貴族が使用したような灰釉(白瓷)と緑釉(青瓷)が比較できるようになっています。
次のケースでは中国から渡来した技術『奈良三彩』と、その技術のうち緑色の緑釉だけが継承されたというのがわかりやすいように並べての展示になっています。関西独自の技術であった奈良三彩が、猿投窯をはじめとする東海地方へ伝播し、東海地方独自の技術である灰釉と並んで製造が本格化していくというのが伝わるようになっています。
同じ展示室内では、奈良時代に見られるデザインの双耳瓶、三耳瓶や高坏といった器のデザインがだんだんと平安オリジナルになっていく様子や、独特な形が面白い鳥形平瓶各種。寺院で主に用いられ、量産化の過程で金属器のオリジナルから陶器製へとシフトしていく鉢や浄瓶などが、金属製のオリジナルと共に展示されているのも圧巻です。

第二章『中国陶磁への憧れの中で』
こちらからは一つのケースの中で、オリジナルの中国製品と、それをモデルにした国産品の比較を見せてくれます。中国製の輪花碗の美しさと、それを必死に追いかける日本の職人の努力に感動してしまいます。
隣の展示室には国内最古級の風炉と、羽釜、喫茶という文化が伝来して共に伝わった『碗』という器のカタチを比較することができます。高台の付いた器という物が発展していく様子がよくわかります。当時の茶といわれるものはいわゆる『団茶』(茶葉を発酵させて塊状にしたもの)で、必要な分を削り取って羽釜で煮出して薬として飲用していたそうです。

さて、長くなりましたが前半はこのあたりまで。第二章後半はまた、後日。

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