セミファイナル
昨日ベランダにひっくり返ったセミが落ちていた。
足がまだ、うにゅうにゅ動いていたので、生きていることは分かったが
セミファイナル待ちだろう…
と思い家に一人だったのでびちびち動かれて自分に激突されることも恐ろしく、そのままにしていた。
排水の溝にひっくり返っていたので、せめてもの救いと思い、日中エアコンを付けずに水浸しにはしないようにした。
(セミにとっちゃ別に何も救いではない)
今朝目が覚めて見たら、足が閉じてセミファイナルを迎えていた。
夜の間、エアコンも付けたので水の中に浸ってしまってもいた。
我が家をセミファイナルポイントに選んでくれたんだと、謎の感慨に浸っていた。
その後、洗濯物を干そうとベランダに出ようとしたら、つっかけスリッパの横にまた新たなムービングセミファイナルがいた。
今度はスリッパの横でムービングしているし、洗濯機は回してしまったし、在宅していた夫(仕事中)に声をかける。
夫が、何食わぬ顔でちりとりに乗せると
(私は室内から網戸ごしに見守る)
ふらふらと外へ飛んでいった。
ついでに室外機の水浸しになっている昨日のセミファイナルも、ちりとりに乗せて草の茂みに落としてもらった。
ゴミに出すより、土に還そうという夫の案によるものだ。
(我が家はマンションの2階で、下は草むら)
夫の在宅と勇気ある行動に感謝するとともに、昨日のムービングセミファイナルも、同じように私がちりとりに乗せてあげたら飛んでいけたのでは…
と妙な罪悪感にさいなまれてしまったのである。
いや、でもセミファイナルむかえかけていたし、悪いことはしていないはず。
そんな自分の考えを肯定しようと、インターネットでセミがひっくり返っていることについて検索した。
そうしたら、セミはひっくり返ると、自力で起き上がることが難しいらしい。
ということは、もしかしたら昨日のひっくり返っていたセミは私が起こしてやれば飛び立ったかもしれない、ということだ。
炎天下で、ひっくり返っているのに悪いことをしてしまった。
(自分の行動を肯定するようだが、基本8月下旬に落ちているセミは弱っているらしい。弱っているから余計起き上がれないのだが…)
セミに悪いことをしてしまったという、罪悪感と、でもびちびちと、動かれたら怖いのは事実なのでベランダにもうひっくり返ってほしくはない、と自分勝手なことを考えている8月下旬。
夏の終わり特有の寂しさを感じながら
クーラーの効いた部屋でごろごろしている。