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屋根裏のBAR#2

カリを屋根裏に誘致してからおよそ1年半、ようやく通常通りに営業できる事もあり、カリは張り切っていた。
休みの期間に買いあさった高価なウィスキーが陳列されていた
酒の種類によって専用のグラスが用意されて、薄暗い店内にはブラックライトで光るフィギュアが至る所にあった。
酒のネオン看板や額縁に入った絵達が所狭しと飾られていた。
BARの体裁だけはしっかりしていた
屋根裏の店内はわかりやすいサイケデリックだった
わたしは屋根裏でカリの前にBARをしていた時、ミニマムな世界観と言うリクエストを出して、古参のはんはミニマムな世界観でBARをしていてくれた
わたしはナウシカの秘密の部屋のように水耕栽培された植物が屋根裏で生い茂り、そこにミニマムな世界観をはめてみたかった。
はんとは長い付き合いであり凝り性だったのと、ある程度の世界観がわたしと一致していて長続きはしないがリクエストを出せば多様な世界を見せてくれた。
わかりやすいサイケは20年も前に通過していて、わかりやすいサイケはサイケだった
サイケの上位互換またはサイケの勘違い、ある意味サイケこれはサイケですか?などなら興味はあったが、屋根裏は良い空間だったがわかりやすいサイケになってしまった。
ちょっと残念だった
カリは毎回、週末に来る度に大量に荷物を持ち込み
先日買ったであろう本や絵、フィギュアをディスプレイしていった
いつのまにか屋根裏からわたしの店舗の一階まで浸食していき、カリのお気に入りの私物はわたしの世界観に入り込んできていた。
かなり偏ったカリの本がピカスペースの本棚におさまっていった
お客さんにかなり偏った本読んでますねと言われて
何度も苦笑いした記憶がある
ある程度は自由にやらせようと考えてはいたが、常連からピカスペースの世界観とはそぐわないなど、カリの浸食に対してブレーキがかかった
わかりやすいサイケだった為、何度か助言したがカリは海老の様に素早く後ろに逃げていった
なんなんだお前は?
学びにきたんじゃないのか?
ん?

続く

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