自分の大切にすべきもの
ぼくは物の貸し借りが好きじゃない
できれば貸したくないし、借りたくない
自分の大切にしなければならない物を誰かに渡したくないし、誰かの大切にしなければならない物を触るのが怖い
だからぼくは忘れ物がしたくないし、してほしくない、
ぼくは忘れ物をしても借りられない
だけれどもそれではどうにもならない場合、借りなければならないし、借りようとしなくても貸してくれる人もいる
ぼくは忘れ物が多い
だからこそ注意深く忘れないようにしている、常に緊張状態になっている、とてもよくない、くたびれてしまう、休息をとっても疲れが取れることはないほどにくたびれ果ててしまい、いつも疲れている、ゆえに、どれだけ注意していても忘れ物はなくならない
ぼくは貸したくないし、借りたくないのだが、人々は貸してくれるし、ぼくもぼくの思考より先にぼくの身体が貸している、
近くで誰かが今、必要なものが手元になくて困っているように感じたら瞬時に動いてしまう、ぼくにできることがあれば、ぼくの思いより先にぼくの身体は動いている
ぼくはぼくの物を貸したくないのに、これはぼくが大切にしないといけない誰かに渡してはいけない物だと思うのに、ぼくはそれを貸してしまう
そんなことを考えている自分
これはケチなのか
ぼくは意地悪なのか
壊れたって無くなったってまた買えばいいものを誰かに貸したくないって思うことは優しくないかならのか、
ぼくは、違うと思うんだ、
本当はぼくは優しくない人、ではないと思うんだ
これはぼくが大切にしなきゃいけない物なんだ
ぼくじゃない人に渡せば、どう扱われるかわからない
ぼくは壊さないように無くさないように大切に扱っているのに、それをどう扱われるかわからないのは怖い
ぼくは物にだって人と同じようにそこに存在する理由、今そこにそれがなければならない意味があると思うし、
壊れても無くしても、新しい物を手に入れればいいっていう考え方はどうしても肯定できない、嫌悪してしまう
人々は人にだってそこに存在する理由、今そこにその人がいなければならない意味があることをわかっていないし
壊れても、いなくなっても、新しい人や何かで埋めればいいって言う怠惰な常識を、
弾糾したい
埋めてはいけないし、埋まらないし、それぞれにはそれぞれの役目があり、代わりのものがその役目を果たすことはできない
そんな当然をわざわざ叫ばなきゃいけない情けなさを憂う
それでも叫ぶ
ぼくらに必要なものは信頼関係
ぼくの大切なものをぼくと同じくらい大切にしてくれる人と共に生きたい
その人の大切なものをその人と同じくらい大切にできる自信と能力を身につけなければ良好な人間関係は築けない
人間として生きているぼくらに暇な時間などほんの一秒さえない
人と人の間には心配ではなく信頼を
行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。