成瀬好きの成瀬の決意

"成瀬は天下を取りにいく"というタイトルの本がある
その主人公は成瀬あかりという名である


ぼくもあかりも生まれつき成瀬だが、
成瀬あかり母は違う、


たとえばぼくが、誰かと結婚して、苗字が変わって、成瀬みたいな娘が生まれたら、ぼくはどんな気持ちになるんだろう
成瀬あかり母はどんな気持ちで成瀬を見守ってきたんだろう、きっと、ずっと、何かを押し殺しているんじゃないか


成瀬は何も殺してない
だから魅力的で、その魅力を隠す気もなければひけらかす気もない、それが成瀬のかっこよさの真髄ではないか

自分に期待し、その期待に応えられる自分を有しているため、
他人に期待する必要も他人に期待される必要もない、

だけれども成瀬はちゃんと、他人にも期待しているし、他人に期待されてもいる

すこぶる魅力的な主人公である


もしも
成瀬がぼくらの生きる世界に実在して

成瀬がこれからも成瀬らしく、生きられるように、
他人に期待することをやめてしまうことがないように
成瀬の期待に応えられる一人になりたい

成瀬みたいにかっこよく
生きたい



たとえば
大谷翔平は他人に期待することをやめてしまってはいないか

自分に期待し、他人に期待されているだけの人

大谷翔平に期待されていない我々はどんどんと魅力をなくしていく



大谷翔平が普通のかっこよさを有した普通の人で

ぼくらは目も当てられないような醜態を晒しながらも生き続けることを強いられている人々だよね

こんなぼくらに期待されて大谷翔平は嬉しいんだろうか

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。