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将来

歌手になりたい

小説家になりたい

画家になりたい

なんて

そんな才能はない、
幸いなことにそんな才能はほんの1ミリさえなかった
夢を見ないでいられた

だけどぼくは
たとえば、主婦にはなれないと思ったし、会社員にもなれないと思ってた
ぼくになれるものは無いって、ずっとわかってた

主婦という肩書きを持つ人がしていることは、本来、もっと全員で分散してやるべきことだし、
会社員がしていることは人のすることじゃないんじゃないかと

ぼくにはなんだか
歌手も小説家も画家も会社員も人に思えないし
主婦はみんなから仕事を奪っている、
みんなの能力を下げているように思える

みんな人ではなく人々の中の一人に成り切って、
他の誰と見分けのつかない人々に成り果てて
一人一人が無い

それぞれが特定の能力だけを上げ、
本来一人一人持っていた、持っているべきだった能力をどんどんと退化させていって、
人がいなくなってしまった

生き延びる力、生きようとする意志がなくても生きていられる、生かされてしまう世界でぼくらは一体、何を求めて生きているのか


存在そのものが余暇

ぼくらは何がしたいんだろうか

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。