叫び17

あなたは少年じゃないんだよって言われてしまった人の気持ちを少し、教えてあげたい

誰に言われるかって、
それはね、自分の体に言われるんだよ

お前は少年じゃないんだよ、そんな生き方はできないよって体が冷たく言い放つ


ゆとり世代、末っ子次女、放任主義な両親、優秀な兄と秀逸な姉、格好の見本もある中で、限りなく自由に育ったぼくである
誰もぼくに女の子らしさなんて求めてなかった

だけれども体は求めるよ
男の子の体と女の子の体は違う

ぼくは少年に憧れていた
ぼくも少年になりたかった
ぼくは男女を分けて考えて生きてなかった
ぼくはぼくがどう生きればいいのかわからなかった
誰もぼくに何も求めない、全て自分で決めてよかった
だけどぼくにはなかった
ぼくにはできることがなかった
ぼくの体が少年だったらもっと頑張れたのになって、ぼくは少年みたいになりたかった
だけどぼくの体はぼくの向こう見ずな生き方に耐えられるわけはなく、ぼくの手足は、生きている自分と繋がっていることが不思議なくらいに冷たかった


ぼくは自分の体を無視して生きていた
どうでもよかった
苦しくてもよかった
苦しめばいいと思ってた
ぼくは生きていることが苦痛だった
ぼくは自分が全くもっていなくてもいいということが強くわかっていた

それでもここにある命
どうやって死んでいけるのかが不安だった
ぼくは一人になるのがすごくすごく怖かった
誰にもぼくをおいて死んでほしくなかった

ぼくは自分が大人になる未来が全く想像できなかった


ぼくは男女を分けて考えていないのに、
そして、誰もぼくに女らしさを求めないし、
ぼくはぼくのやりたいことをやるだけだと思っていたけど、
ぼくは体でわかっていた
男と女は違うということ


男の子に少年らしく生きることを求めたり
男の子にだけ少年らしく生きることを許したりするのは間違いだよ

少年への憧れは男の子だけのものではないし、

誰かに言われてやったり、やめるのではなく
自分の体に言われて気づくのでなければ、
その我慢はいずれ取り返しのつかない問題に発展していく

大人の思う壺に嵌り
馬鹿やらされる少年たちや
大人の愚かさに呆れ
自ら我慢を覚えていく少女たちの存在は
それ自体がすでに残酷だよ

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。