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6/12-掌編 お金ってさ

女の子の体

いまもいままでもずっと回ってるお金は
女の子の体に価値を与えることで生まれたお金が含まれているから

お金が卑猥に見える理由

重労働の対価に女の子の体

重労働に使えない体を捧げる

知らないおじさんの現実逃避に付き合ってあげるのに耐えたらもらえるお金

現実逃避に付き合ってくれる知らない男に持っていくお金

ギャンブルに消える、暴飲暴食に消えるお金

お金ってなんなんだろうか


お金って全部同じって、
一括りにひっくるめて言ってるけど、
誰かが裸の体を何時間差し出してくれたからその価値いくらって、発生させたそれと、

人が人として生きるために使うお金を

同じものとして、同じ数字で、同じ枠の中で使わされてるのって、ぼくには、ぼくには無理、ぼくには耐えられない、いますぐ死にたいって、全力で思ってしまうの、
まだまだ死にそうにない体を持て余してしまうの、
もうこれ差し出してもいいかなってくらい、ぼくはもう先に消えてもいいかなってくらい

それがぼくだけならいいんだけどって、
それがぼくだけならぼくは耐えるけどって、
若いぼくは、思っていた、けど、
みんなそうなわけで、
それを大人だって、
それは立派だって、言ってるわけで、


人々は人として生きることをしない
人として生きることを許されていない中、
何故、新たに、娘を生む、息子を生む、その不思議さに
心奪われるわけで


知らないおじさんが整備してくれた鉄道
知らないおじさんが走らせてくれた電車
全部知らない誰かの仕事

ぼくは全部を讃えていたよ
知らない誰かもそれを慰める女たちもそれを慰める男たちも、ぼくは讃えていたよ

あなたがそれを
自らの意志で
自らの願いでやっているのならば


知らないおじさんはぼくの憧れだったよ
ぼくもそんなおじさんになりたかったんだよ
静かにそこに存在し、ただかっこいいおじさんになりたかったよ

しかしそんな人はいない
ぼくの憧れは幻さ
おじさんなんていなかった

みんな身を削って、まるで裸の体を晒すように、心血を注いで、無限に広がり続ける地獄の楽園を維持管理、発展させ続けている意味不明さ

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。