6/7-掌編 一位

一位じゃないとだめですよ
二位じゃだめです

一位しか存在しちゃいけないんです
二位や三位は存在しないも同然です

本来であれば最初から一位のみ存在すればよかったものを、一位を映えらせるために、二位や三位は存在し始めました

二位や三位は存在しない
存在してはいけないものだと、ぼくには思えてくるのでした
初めから一位を目指しちゃいけないぼくらはどのように自己を保てばよいのでしょうか

一位を目指すことで得られるものはあります
なれなくても、一位を必死に求めた上での二位や三位や圏外にはその存在に価値があります、その敗北から得られるものはありますし
なにより一位の質が上がっていきます

初めから一位が決まっていて、
初めからこれ以上の向上を期待されていないならぼくらは何を願って生きていけるのでしょうか

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。