真理16

植物たちはさ、わかってるんだよね、残るのが自分じゃなくてもいいってこと、どんな時も残るべきものが残るんだってこと、それは努力じゃ変えられないってこと、それでも生き抜くための努力をずっとし続けなきゃならないってこと、始めからわかってるんだよね、
ぼくもね、植物たちくらいわかってたんだよ、ぼくたちだってみんなね、本当は、最初は、わかってたんだよ
ぼくらだってもうね、妬み合わなくていいんだよ

できるのならぼくはなにもたべたくない
だけれどもそれでもすぐにおなかはすくんだよな
生き抜かねばならない、そのためにはまだぼくは生きる命をいただいていく
ぼくの仕事はそれで
ぼくにたべられる命たちの仕事はそれなんだよ、きっとね
ぼくらはそのために生まれてきた
あってもなくても変わらないように思えてくるぼくらの命でも、この世界が回り流れていくために必要とされて、ぼくらは誕生したんだ

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。