6/8-掌編 上下関係、人々、自立させないために

一人一人自分の頭を使うようになると
一方的に言うことを聞かせることができなくなって
いいように使いづらくなるから

かと言ってまったく頭を使わせないと
何にも使えなくなってそれじゃ使い物にならないから

わざとわかりづらくめんどくさくしてんだよ
なおかつ、そうすることで暇な時間を与えず、境遇への不服を叫ぶための思考の整理の時間を取らせないことができるんだよ

自分の頭を使って物事を考えることをさせてもらえていない人々の言うことを聞かされていく人々、エンドレス

どんどんと、どんどんと、考えがない、やる意味のない、やる価値の薄れていく、そのやらなくてもいいことを、
やらなければ、
仲間には入れてもらえませんってさ


えーどうしよう
できるならぼくもやっちゃってたけど
幸か不幸かぼくの能力の低さではそれができなかった
だからぼくの生きる時を考える時間にあてたんだ
使えない頭を必死に働かせようと試みることしかぼくにはできなかった
体が全然、思うように動いてくれなくてさ
無理やり頭を働かせながら
動かない体を引きずりながら
生きていたんだ

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。