6/4-掌編 悲哀

恐ろしく頭の働きが悪い女どもがいる

恐ろしく頭の働きが悪い男どもが
そんな女どもを見ると
まるで自分の頭の働きが悪くないように錯覚する

恐ろしく頭の働きが悪い男は恐ろしく頭の働きが悪い女に、子を産ませる

男は女を利用している、そう捉えることもできるが、本当は、
その男どもは女を
自分の賢さで幸せにしてあげようとしているのかもしれない


恐ろしく頭の働きが鈍い男と
恐ろしく頭の働きが鈍い女の間に誕生していく人々

生きていること、生まれてしまった事実が苦しくて、その苦しみから逃れるため、頭の働きを止めていく

自身の成長を止めて仕舞えば、晴れて、大人になることができ、
繰り返し、繰り返す


もうやめてもいい
もうやめれる

もう抜けてもいい
もう抜けれる

もう繰り返してはいけない
もう繰り返せない

これ以上、偽りの幸せはつくれない

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。