君がぼくのことを成瀬って呼ぶようになった件について

君に成瀬呼びは許されないよ
苗字で呼びたいなら
さんは必要だよ
でも一度でも言ったらもうアウトなので、
これから戻したってもうダメなので、
もういいですよ
ぼくもこれからは君のことをながしーと呼ぶ
ぼくが成瀬だから君もぼくをそう呼んだだけだよね、君は何も間違ってないね

ぼくは、きっとひかりというより成瀬ですね

ぼくは君の親友になりたい

なるせーって呼んでよ

君がまた夢に出てきたよ
ハグしてたよ

そんな夢物語



成瀬さんからひかりさんになるまでは何年もかかったのに
ひかりさんからひかり
ひかりから成瀬はあっという間すぎた

そしてまた会えなくなった


君がひかりを一人にするはずがない
私はあなたにそんなことさせない

私は信じている
あなたは生きている

ぼくらが孤独に逃げなくていいように
私はぼくを育てている



本屋さんでね、見つけたのよ

"成瀬は天下を取りにいく"ってタイトルの本をね

"なんだって?!"ってつぶやいてから手に取って、
買って帰った

あかりには島崎がいてよかったなぁと思った
島崎ありがとうって思ったよ




ぼくの名前は成瀬ひかりといいます

ぼくは自分にこの名前は相応しくないんじゃないかって思ってました

人の名前にひかりっていうのは、いいのか、畏れ多いなぁなんて思ってました

素敵な名前だなぁとは思っていました
苗字も気に入っていました

ぼくはふと、
やはり、強く思います
名前も身体もこの世界で生きるための借り物ですよ
自分のものなんてないですよ
自分のものだからって雑に扱ってはいけないし
自分のものだからって独り占めするのもいけないです


この名前とこの身体は
ぼくを亡くさずにいてくれた
自分の名前も自分の身体も独り占めせずに、ぼくと生きていてくれた、ぼくを殺さずにいてくれた

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。