見出し画像

本気で待ってんだよ

時がぼくに言ったんだ、必ず行くって




何もしないでただ生きてるだけだろ
怠惰だろ
怠けだろ怠ってるだろ
努力してないんじゃないか
動けよ
何もしてないじゃないか
生きてないのと同じじゃないかって、

君は思うのか?

ぼくは生きていないのか?


何もしないでただ生きていることがどれだけ難しいことか、お前には一生かかってもわからないかな

どうしたって動いてしまう、
必死で力を込めていなきゃすぐに倒れてしまう自分を、
全力で止めて全力で支えていたんだよ

片時も忘れることなく、じっと待っていたんだよ

信じてるんじゃない、知っているんだ
誰に教えてもらったわけじゃない、誰も言葉にできない、
誰にも言えない、
秘密をぼくは知っていて、ずっと忘れないで、それだけを持って、待っていたんだ、時が来るまで耐えていたんだ


時が来るんだよ
待つしかないじゃん

時がさ、
行くから、絶対行くから待っててねって、言ったんだ

いつかはわかんないけど、いつかは絶対行くから待っててねって、言われたんだもん、待つしかないじゃないか

なぁ、そうだろう?
おれはどうすればよかったんだ?

時が来たときに、あれ、待っててねって言ったのに
時は来たのに、忘れてしまったんだね、せっかく来たのに気づかないんだねって、
そんな悲しい思い、時にさせたくないから

ぼくは待てる人だから

惰性で生きてる人々に混じる気にはならなかった
ぼくは待とうと思った
時の来るのを待とうと思った

ぼくはいまじゃないってわかってた
いま動けばやられるってわかってた

だからぼくは
ぼくの特殊能力・擬態を発達させてきたのであったろうか




時のせいじゃないよ
時が待たせるから悪いんじゃないよ
時がいつ行くかはっきりしないのが悪いんじゃないよ

時はぼくの成長を待っていたんだよ

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。