難しい話5

そうだよ怖いんだよ
ぼくの生きてる世界
ホラー映画なんていらない
明日の予定なんて立ててる暇はない
いまを生きてるぼくに
恋愛ドラマなんて甘ったれ
昔からずっと同じこと、繰り返し繰り返し繰り返してるだけのそんなのつまらない
みんなだいすきアダルトビデオ、誰かの裸なんて見てなんになるの、そんなの頭がおかしくなるだけだろ
頭がおかしいのはおれじゃなくてお前らだろ

愚かで低俗な変態集団、
それがぼくから見た、大人たちであった

ねぇ、いつまでかわいいの?
大人たち
かわいい担当は赤子なんですけど
いつまでもいつまでもかわいい大人たちは
いささか
20年も30年も一体いつまで、
裸でかわいがられるのでしょうか

全部全部昔の人たちが悪いね
ぼくらを育てなかった、
この部位は美味しくないから捨てちゃおうって、大事な頭を落としてきたぼくらが悪いね

本物のかわいい担当者がなかなか現れなくなった社会
偽物のかわいい担当者がいつまでも体を張って頑張ってくれている社会
いまを必死に生きているぼくらを責められるものはいない

いつまでもかわいいを求められる女の子たちと
母の体の温もりを満足に与えられないまま、
かわいいなんて言われまいと強がりながら大きくなった男の子たちは、
一人では生きられない、
半人前で生きることを強いられ、
奪い奪われながら、
足を引っ張り、引っ張られながら必死に生きながらえている

泣ける映画なんて観ている場合じゃないと思うのだが
どうだろうか



どこで間違えたかって言うとね、

ママがいいって、言ったじゃないか

その言葉の意味をね、

深く理解してくれ


誰でもいいわけじゃなかったんだよ

いましかできないことがあったんだよ


あなたにしかできないことがあるんだよ


ママにしかできないことがあるんだからさ、
パパでもできることはパパ頑張らなきゃいけないし、
どうせあなたにはできないよって見限られたら、頑張れないよ

ママにしかできないことがあるんだから
パパでもできることはやらせてあげてよ期待してよ諦めないでよみんな一人で生きてるわけじゃないんだよ孤独にしないでよ

孤独に生きることを常識にしてんじゃないよ
大人ども


他人がくれる、
お金で買える、そんなかわいいで現実逃避、
心を酔わせてなんとかやり過ごす
社会という名の地獄でのたうち回るぼくらの日常

目を逸らさずに
本気で見てたら
泣ける映画より泣けるよ


パパにしかできないことだってあるんだよ

ママはちゃんとパパに期待してよ
諦めちゃいけないよ
頑張らなきゃいけないよ

それが家族ってものだろう

行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。