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【映画じゃない日々】読書について 01



「寒いね」
男が言い、女は頷く。

女は何か考えているようだ。しばらくし黙って歩き続けてから、女が言う。

「ねえ、今、一番行きたい場所ってどこ?」




映画じゃない日々



2012年10月発行
祥伝社文庫
著者:加藤千恵

加藤千恵

北海道旭川市出身の歌人であり小説家
若い世代の女性をターゲットにした作品が多く、
少女らの微妙な心情を、平易な言葉を使い表現する。

彼女は、歌人として活動を始め、恋愛小説なども多く執筆している。

要所に短歌を用いた小説に、10代の頃の私は夢中になっていた。


あらすじ


街にある小さな映画館が舞台だ。
同じ上映時間に居合わせた女性たちの物語。

それぞれが多様な人生を送っている。

高校生
大学生
OL
主婦
フリーター
転職活動中の女性
主演

同じ映画を観ても、感じることはみな違う。
戸惑いや嫉妬、希望、様々な感情が入り交じっている。


映画のように台本通りにはいかない人生を
それぞれの視点で書いている。


サクッと読める 小説です。



感想


自分の境遇と同じ女性はいなかった。
しかし、どこが当てはまる部分もある。

経験したこともないのに、なぜか共感できる部分もある。

社会で生きていると実感したくて、日々に縋っている。

幸せか不幸かも分からない。
変わりたいが、切り開く勇気もない。

淡々とすぎる日々を淡々と眺めている。

他人に嫉妬したり羨望したりする。

繕った自分で、相手を見定める。


「個人じゃない自分」    がおすすめ


添えられた短歌にハッとする小説です。


でも、

昔読んだ時の方が、心に刺さったな。
自分も変わっているんだ、と感じて、
なんとも言えない気持ちになった。



(今日は早く寝るので簡単に🥹)


その他おすすめの本


機会があれば、
もう少し詳しく本について感想を記事にします。


三秋縋
スターティング・オーヴァー
メディアワークス文庫

「歯車をかけ違えた幸福の形、一度きりだからこそ意味が産まれる人生」


1番好き


荻原浩
金魚姫
角川文庫

「もう一度距離を置いたほうがいいと思う、私たち」



米澤穂信
本と鍵の季節
集英社文庫

913


辻村深月
かがみの孤城
ポプラ社

「だって、こころちゃんは毎日、闘っているでしょう?」



辻村深月
スロウハイツの神様
講談社文庫

「所詮、涙だよ。安っぽくそれを垂れ流すことがそんなに偉いの?」


舞城王太郎
短篇七芒星
講談社

「ろくでもない人間がいる、お前である」



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