ウィリアム・オッカム

新しい道

イングランドのオッカム村で生まれる(オッカム村のウィリアム)

オックスフォード大学で神学と哲学を学ぶ
30歳あたりまで、命題集講師という
偉い人の言葉を集めた本に、注釈を入れる仕事をしていた
オッカムの人生はエリートとは程遠かった

…オッカムがスコラ哲学に懐疑的であり、
大学の学長と対立していたから

これまでのスコラ哲学を含めた認識論に強く反発

イデア形相も存在せず、
ドゥンス・スコトゥスが提唱した『このもの性』すらもない
人間は個物をそのまま直感的に認識する能力しか持っていない

目の前に花があるとき、人間は「ここに色の綺麗な植物がある」
と認識をする
この認識は【習得知】という観念として人間の中に残る

違う花を見た際に
「ここにも色の綺麗な植物がある」と認識
過去に取得した習得知との類似から
両方のものに共通した『花』という普遍的な概念が形成される

オッカムに始まるこのような新しい思想は
それまでのスコラ哲学を旧い道と位置付けた上で
【新しい道】と呼ばれた

オッカムの剃刀

『存在は無闇に増やしてはいけない』
『少ないもので成立することを、多くのもので成立させるのは無駄』
…【思考節約の原理】

人間は直感的認識だけでものごとを判断している
というロジックであらゆることが説明できてしまうのだから
イデアだ形相だなどと余計なものを付け加える必要はない

剃刀のように無駄を削ぎ落としていくことから
【オッカムの剃刀】と呼ばれた

結果、それまで長く続いてきたスコラ哲学(神学と哲学の融合)さえも削ぎ落とされる
…自然と神学と哲学は分離

哲学はオッカムの思想に従い
経験に基づく認識によって、世界を説明する方向へ
イギリス経験論、近代科学の発展へつながる

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