「いつか牙むくよ」

親権や面会交流の問題を取材し始めて10年近くになると、取材当初は子どもに会えなくなってボロボロになっていた方のところに数年後、子どもが自分から戻ってきた、という話を時折聞くようになった。

DVや高葛藤、「子どもが会いたくないと言っている」等を理由に(真相は分からない)面会交流を拒否され、心身ともに打ちひしがれた状態になっていた姿を覚えているだけに、「会えるようになってよかった」と思う一方、複雑な思いも感じてしまう。

会えなかった数年は大きいものだし、その間子どもたちはどのような思いで過ごしていたのだろう。どちらかの親を自分で選択する形を取った、取らざるを得なかった子どもたちはどのような思いなのだろうか。子どもに去られた元同居親は今どのような状態に置かれているのだろう。

離婚事情は様々だと思うけれど、別れる前に冷静な話し合いや養育計画の作成をサポートする体制、カウンセリング、面会交流支援等があれば、双方の親も子も違った時間を過ごせていたのではないかと思うことも少なくない。離れて暮らす親に子どもを会わせたがらなかったり悪く言ったりする親について聞いた時、ある元子どもが「今は従順でないと生きていけないから話を聞くけど、いつか子どもは牙をむくよ」と言っていたのを思い出す。会えない親も辛いけれど、このような状態になってしまったら皆が辛いだけではないか。

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