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デザイン料金の相場

弊社には明確なデザイン料金表はありません。
デザイン会社として独立した時、一番悩んだのは料金設定でした。
そもそもデザイン料金に相場ってあるのでしょうか。
私が見積(料金を考える)を作成する際のポイントについて、ご説明します。

決められた価格が存在しないデザインの仕事、お客様(発注側)と弊社(受注側)の間で合意があれば、金額は自由に設定可能です。
理屈として、発注側としては安ければその方がいいし、受注側としては高ければ高いほどよいのですが。

私が価格表を用意していないのは、デザインとひと言で言っても、このパターンであればこの金額、このボリュームなら●●円と決められないからです。例えば写真1枚、簡単な説明文数行のチラシと画像の切り抜き加工が必要で、画像が10点、20点あるチラシでは紙のサイズは同じでも、制作時間や業務工程がまったく違います。だから、ケースバイケースとしか言えず、都度、お見積させていただくスタイルで営業しております。

困ってしまうのが…以前、前者の内容でA4のデザイン料金が1万円だったお客様が、次の案件では画像点数が多く、複雑な写真加工も必要な内容の仕事を「前回と同じ大きさ(A4)だし、1万円でいいよね?」と言われることです。
デザインって面積ではないのです…例えば国産和牛A5ランクのヒレステーキ200gと輸入牛でスーパー特売のステーキ肉200gでは値段が違うのは当たり前です。
同じグラム数だからって、同じ金額ではない!…って。
私だけかもしれませんが、この説明難しいんですよね〜。

私は新規の案件の場合のポイントは、内容の難易度とボリュームから作業内容と作業時間を考えてお見積しています。

デザイン料金の基準となるものがまったく無いのかというと…JAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)は、料金設定の目安となるJAGDA制作料金算定基準を公表しています。JAGDA制作料金算定基準の制作料金は以下の式で算出されます。

制作料金 = 質的指数×a作業料 + b作業料 + 質的指数×量的指数×a作業料 + 支出経費

質的指数:制作者の能力度の指数(標準的能力の制作者の質的指数を1とする)
a作業料:質が大きく関わる作業
b作業料:質に関係の少ない作業
量的指数:制作物の数量など、制作者の能力や知名度以外の、付加価値を生み出す要因
支出経費:材料費や交通費、通信費などの経費


制作者の能力度の指数って?

これも曖昧で基準値の設定が難しい。
リーフレットの料金表を基に考えると…
https://archive.jagda.or.jp/designfee/cf_fee_print_sam04.html

リーフレット1点デザインする場合、質的指数は『1』です。(一応標準と考えて)
量的指数は発行部数1,000程度ということで『0.2』で計算された料金が記載されています。
D(デザイン)は具体的なデザイン作業、C(コピー)はキャッチコピーなどを弊社で考えた場合です。

いずれも『a作業』に当たり、質的指数が乗じられているので、質的指数が増減すれば連動して増減します。

ラフ、カンプ、フィニッシュは、全体の雰囲気を判断してもらうためのラフを制作し、お客様にイメージをつかんでもらい、印刷物にするために印刷用データの作成といった作業も加わり、これらが『b作業』に当たるのです。

弊社は他社に比べて安価な金額設定となっています。
安価な理由はCD(クリエイティブディレクション)料金を加算しない、または加算する場合も低価格にしているからです。
クリエイティブディレクションとは「課題を解決する」ために作る販促物について、アイデアをカタチにする技術料です。

売れてないからチラシを作ってもっと告知したい、もっと商品価値を説明したい…など、アイデアを必要としているお客様に、最適な提案をすることです。この作業を弊社では分けて考えずにラフデザイン制作の際に組み込んで提供しています。

作業内容に合った金額か?

もっと簡単なデザイン料金算出方法は、自分の行っている作業に見合った料金になっているか、時給換算してみるのもよいでしょう。
仕事にかかっている時間は制作作業時間だけではありません。打ち合わせの時間、交通費、移動時間なども労働時間に含まれます。

こんなふうに色々考えてみるのですが、クライアントとの関係性などがあったり、安価に受注することで次の仕事に繋がることもあるため、悩ましい問題です。


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