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親知らず抜いたら神経麻痺が出て仕事ができなくなった話

痛々しいタイトルですが簡単にお伝えすると、
親知らずを抜いたら神経麻痺が残ってしまい、予定していた仕事が全然出来なくなり、多くの方々にご迷惑をおかけてしてしまいました。

そんな状況の経緯とこれまでの気付きをまとめようかと思います。

僕のような麻痺の残る可能性のある難易度の高い抜歯に対して、人知れず不安を抱えている友人も何名かいたので、あくまでも1つのケースとして誰かの参考になればと思います。(ちなみに当noteでは不安を煽る気はまったくなく、Googleで検索してもあまり細かな体験記を見つけられなくて不安にだったので、同じような状況の方への1つのケーススタディとなればと思って書きました)

<このnoteで伝えたいこと>

◎情弱にならずマジでちゃんと調べたほうがいい
抜歯や神経麻痺など、その道のプロはいるので事前に徹底的に調べたほうがいい。神経麻痺のリスクはかなりデカい。治るのにもめっちゃ時間かかる。

◎地方の総合病院での手術は微妙だった
上記の伝えたいことに通じますが、地方の総合病院では術後のケアが超微妙。専門的な歯医者をちゃんと調べて、そこにお願いすれば良かったと後悔しています。詳しくは後述にて。

◎医師の伝えてくれる一般的な影響とプロの仕事に対しての影響は違う
「味覚に影響は無い」というのが医師の見解でしたが、舌や唇の痺れはプロの味の官能評価にはとんでもなく影響を与えます。スポーツ選手の怪我はスポーツ医学のプロに任せるのと同じで、食のプロなら口腔神経のプロにお願いするべき。

  1. 現在の状況

  2. 経緯

  3. 手術までの流れ

  4. 手術&入院〜退院まで

  5. 退院後から現在まで

  6. 術後の後悔:最大限のリスク回避ができていなかった

①現在の状況

9月中旬に下2本、上1本の親知らずを総合病院にて全身麻酔&2泊3日の入院をして一気に抜歯しました。
術後1ヶ月半が経ち、現在も下顎・下唇・舌に神経麻痺が残り、顎の痛みも継続しています。
また飲食関連の仕事をしているので、味覚の狂いが大幅に生じてしまい仕事に支障をきたしている状況です。例え話ですが、ケチャップとソースの違いがわかる味覚の影響は無いが、10種類の塩の味の違いを詳細に把握して評価や提言するような難易度のものは、仕事にならないレベルで影響が出ています。(現在は徐々に回復傾向)

②経緯

20代の頃に発覚したエキセントリックな生え方をした親知らず。特に痛みもなく、当時は完全に埋まっていたので、大変な抜歯&術後に神経麻痺が残る可能性があるくらいなら「放っておこう」と判断しそのままに。

30代終盤に差し掛かり、最近歯医者でレントゲンを撮ったら、下の親知らず2本が虫歯&歯周病になっていることが発覚。10年以上経ち、加齢とともに歯茎が痩せていき完全に歯茎に埋まっていた親知らずに歯ブラシの届かない小さな隙間ができて、そこから食べかすが詰まり虫歯になって、周りの歯茎が歯周病になっていました。

また真横に生えた親知らずは10年以上かけて前の歯を押し続け、気づいたら下の前歯の歯列が乱れてきていました。親知らずのある奥歯からの口臭も若干出始めており、原因が虫歯とわかり、このタイミングで該当の下2本の親知らずを抜歯することにしました。(上の1本はついでに抜いてもらいました)

③手術までの流れ

痛みは特になく、自覚症状はほとんどない状況でした。
ただ、②で書いたような状況になっており、今後のリスクを考えると「いつかは対処しなければならない問題」に発展していました。

ただ、レントゲンを撮って抜歯を提言してくれた町の歯医者では対応できない手術(全身麻酔&入院が必要)になりそうなので、近くの市立の総合病院を紹介されました。そこで市立病院へ行きCTスキャンをして、親知らずの詳細な状況がわかってきました。

親知らずが横に生えている人は世の中には結構いるようですが、病院にて詳細にCTスキャンしたら僕の場合は、

親知らずが横に生えている
+親知らずに隣接して神経が通ってしまっている
+親知らずが顎の骨に埋まってる

という状況で、後に執刀してくれた担当医からは「10年に1度の逸材レベル(で大変な親知らず)だったよ〜」という不本意な称号を与えられました。もっとポジティブに10年に1度を使われたかった…笑

7月下旬に総合病院へ行き、8月に様々な検査を受け、9月中旬に手術を決行するスケジュールになりました。

この時にわかったのですが、総合病院にて全身麻酔で手術をするには色んな検査が必要でサッと行って、パッと抜くというのが、抜歯の難易度によっては出来ないということがわかりました。抜歯を「どうしようかな〜」と悩んでいる人はとりあえず、難易度を把握して手術をする際のスケジュール感を掴むことをオススメします。

④手術&入院〜退院まで

手術自体は全身麻酔なので、当日はサッと行って、パッと抜けた感覚です。ただ全身麻酔から目が覚めたら、術前→術後では世界が違っていました。

<手術&入院の気付き>
◯若いうちに対処したほうがいい
手術&入院は思ってたよりハードです。痛みなどで上手く寝れないし、食事も満足に取れないので、体力が衰えていくとキツくなっていくだろうなーと思いました。正直もっと早くやっておけばよかった。

◯痩せておいたほうがいい
術後寝たきりになるのですが、腰が超痛い。わがままボディーに入院は優しくない。

◯一気にやったほうがいいけど覚悟必要
僕は上も合わせて同時3本抜いたのですが、身体のダメージがハンパないです。一気にやったほうがいいけど、それなりの覚悟をしておいたほうがいい。術後の影響を正直舐めてた。

◯仕事の調整が必須
術後3日目でも舌が腫れて痺れてるから人と喋れません。頬がパンパンに腫れ上がって咀嚼もできません。唇が痺れてるからヨダレも垂れ流しです。オンラインの打ち合わせなんて全然出来るわけない。

◯入院の持ち物
Bluetoothイヤホンと耳栓が大活躍でした。術後HCUというところに1日いたのですが、高齢者のうめき声と看護師さんの叱る声が同室の至るところから聞こえて気が滅入ります。笑
片耳に耳栓、片耳にイヤホンで安眠・自律神経・ヒーリング系の音楽をずっと聞いてました。(そうすれば片方は充電してられる)
Switchなどのゲームがあると気が紛れます。ちなみに仕事しようと思ってパソコン持ってきてたんですが、歯が痛くてヤル気になりませんでした。
充電コードは長いものがあると便利です。入院ベッドが巨大でコンセントまでの位置が遠めだったので。

⑤退院後から現在まで

2泊3日の入院が終わり退院したのですが、流動食しか食べられませんでした。正直、1〜2週間もすれば腫れはひいて多少の神経麻痺は残るだろうけど、ある程度仕事復帰できるだろうと思っていました。

ですが術後、7日目くらいから手術した箇所から膿が出始めました。これが超つらい。臭くて不味いんです。例えるなら生ゴミの袋の汁が口に流れてくる感じ。
しかし、次の病院はさらに5日後の抜糸のタイミング。運悪く土日祝日も重なり、病院にも相談できず我慢しながら抜糸の日を待つことに。そうしたら、病院では「あら〜感染して膿んじゃったね。退院時に抗生物質を出されなかったの?」と言われ、特にもらってませんと答えた。

・手術をした先生
・退院を判断した先生
・抜糸をした先生

総合病院だからなのか、全部違う先生でした。しかも、それぞれが普段コミュニケーションを取っていない感じっぽく、僕の術後の経過に対しても連携が取れてないイメージ。先生によって言うこともコロコロ変わり、A「◯◯したほうがいい」B「◯◯しないほうがいい」みたいな状況に。しかも執刀してくれた担当医は月曜日しかいないので、その先生に電話相談できるのは月曜日のみ。月曜日が祝日だと終わる、みたいな状況で超不安でした。

さらに、家族や状況を聞きつけた友人知人からは「大丈夫?」「治るの?」「ミスされたんじゃない?」「下手な先生に当たったんだね」「病院変えろ」など、大丈夫ではない状況でかなり色々と提言されました。この時期はかなりキツかった。

後々わかったのですが、(横に生えているのも含め)一般的な親知らずの抜歯と、僕のような親知らずの抜歯は術後の影響が違うということ。なのでみんな「たかが親知らずの抜歯でそんな大変な状況はおかしい!」となり、アドバイスをくれたという流れに。

結局3週間経っても、食事はおろか、会話もまともにできない状況だったので、さすがに焦ってセカンドオピニオンとしていつもの歯医者さんに曜日限定で来る口腔外科の先生に相談することに。

そこでかなり色々相談に乗ってもらい、

Q:術後こんな大変なもんなのですか?失敗されたとか・・・。
A:それだけ大変な手術だったということですよ。CTを見る限りでも、相当大変そうです。失敗とかはないと思いますよ。

Q:これ、、、治るんですか?
A:腫れは引くにしても、神経の麻痺からの回復はかなり時間がかかります。数ヶ月というスパンで考えたほうが良いです。徐々に徐々にしか治りません。

Q:どうすれば早く良くなりますか?
A:まだ腫れや炎症、膿がヒドイのでとにかく安静に過ごしましょう。神経の戻りなどはそのあとからです。大変だとは思いますが焦らずやっていきましょう。

という感じで丁寧に答えてもらえて、少し安心できました。

その際にふと思ったのが、「あれ?僕と同じような状況になってる人っているのかな?」と考えて検索しました。

ここが最大の後悔です。

⑥術後の後悔:最大限のリスク回避ができていなかった

なぜ、流れに任されてそのまま手術をしたのか?

神経の麻痺という仕事に影響するような超リスクを最大限回避できるような行動をなぜ今まで取らなかったのか?という後悔です。

調べたら色々と出てきました。ただ抜くだけではなく、大掛かり&ハイリスクな抜歯になりそうな場合は歯列矯正をして抜きやすくする方法や、神経麻痺に対してのリスクを軽減する方法など、色々出てくる。

例えばこんなの↓
https://www.ichibankan-dental.com/nerve.html

全然調べてなかった。。

「たかが親知らず」と完全に舐めていたことに、ここでやっと気付きます。

考えてみたら、こういう難易度の高い手術の専門家は絶対にいるはずなのに、なんで言われるがままに近場ですべて済ませてしまったのか。サッカー選手が足の怪我をして、麻痺が残る可能性があるって言われてるのに、町の整形外科で済ませないでしょ。※町医者を悪く言っているわけではありません。それぞれの役割や専門性の特化があるという話。

なので、今回の手術では事前に神経麻痺のリスクは話されていたので、リスクは承知していました。ただ、どこかで説明を受けても「そういうものなのか」と、他の可能性を検討せずにただ鵜呑みにして思考停止していました。

たらればになってしまうけど、仮に術後に感染して膿んでしまったとしても、総合病院でなければ早期に対応が出来ただろうし、医師間の連携もしっかりなされていたはず。僕もすぐに電話で相談できただろう。

正直、戻せるなら時間を戻したい。無理だけど。

手術をしてくれた病院や先生に対してはネガティブな感情は全くありません。面倒な手術を請け負ってくださり感謝の気持ちでいっぱいです。

ただただ、自分の食のプロとしての自覚の無さに怒りを覚えるだけ。

という感じで心が1ヶ月くらいやさぐれていました。
正直、味覚がいつどこまで戻るのか全然未知数ですが、もう手術してしまったことは元に戻せない。※回復傾向ではあります

でも、この最低な期間に妻から第三子の妊娠が発覚という最高の知らせも貰いました。

このおかげで「ウダウダやってるヒマはねェ!」と立ち直るきっかけになりました。

イベントや仕事をキャンセルさせてもらいまくって、収入も激減している中で落ち込んでても始まらない。とにかく、できることからやるしかないと、やれる可能性の残っている色んな仕事のキャンセルやリスケをお願いしました。今はまず治すことが先決にするしかない。
できるか、できないか、でずっと悩んでしまっていました。でも「クオリティに自信を持てない限りはやらない」と、もう迷わないように心に決めました。

冒頭にも書いたことを少し編集して再掲しますが、

<改めてこのnoteで伝えたいこと>

◎情弱にならずマジでちゃんと調べたほうがいい
抜歯や神経麻痺など、その道のプロはいるので事前に徹底的に調べたほうがいい。神経麻痺のリスクはかなりデカい。治るのにもめっちゃ時間かかる。思考停止してはダメ。

◎食のプロであれば口腔神経に最大限のリスク回避を
専門的な歯医者をちゃんと調べて、そこにお願いすれば良かったと心から思う。金額面でもキャンセルしてしまった仕事の損失の総額に比べたら安いもの。自分の仕事の生命線は自分が守るしかない。

◎一般的な影響とプロの仕事に対しての影響は違う
「味覚に影響は無い」というのが医師の見解でしたが、舌や唇の痺れはプロの味の官能評価にはとんでもなく影響を与えます。スポーツ選手の怪我はスポーツ医学のプロに任せるのと同じで、食のプロなら口腔神経のプロにお願いするべき。


世の中にあまり細かな体験記を見つけられなかったので、この記事が誰か1人にでも思考停止にならない参考になれば幸いです。

最後に、今回の件で多くのイベントをキャンセルしてしまい、楽しみにされていた皆様や関係各所には多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳なく思っております。心からお詫びを申し上げます。

今はできることをとにかくやって、
数カ月後にこの記事の追記に「無事に感覚が戻りました!」という未来を目指して、腐らずできることから頑張っていきたいと思います!!!

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