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詩| 覚醒の雨


ソファに埋もれたままで
世界は 僕を取り残していくのだなと感じた

遠くで聞こえる雷鳴に 嵐がやってくるのだと ふと思った

君の風は柔らかくて
君の胸に抱かれて眠りたいと思った

幻に浮かされて

気づいたときには 熱はどこにもなくて

君の声だけが 未来を約束してくれていたのに

窓にたたきつける雨の音が ふと現実に戻す

こうして 息をしている
こうして 息をしている 此処で。

生に踊らされて
もてあます感情に
『自分』を管理することもできずに

たかだか一人を失って たかだか独りになっただけだ

そう考えると
なんだか すべてが馬鹿らしく思えて

世界が僕を取り残していくのなら
意地汚く生きてやろうと思った

こうして 息をしている
こうして 心臓は。

嵐が過ぎていく
雷鳴は遠のいていく
雨は 乾いた心に沁みわたって。

そうだ
また 始めればいい

そうして

最後の最後まで 足掻いて足掻いて

この命を
使い果たせばいい

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