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詩| 一縷の・・・
吐き出されるその煙を掴みたいと思った
男の顔は もう知らない顔だった
煙は一つの線のように
それはか細く まるでこの先をあらわしているようで。
男は火のついた煙草をそのままアスファルトに置いた
赤い火に目を奪われる
「行こうか」
どこへ?と訊ねる前に
男の手が重なる
「二人しかいない場所へ」
そんな場所など存在するのだろうか
微かに震えた男の手が一層強く握りしめてくる
影がのびる
二つに重なる影を追いかけるように歩いた
帰りの切符は破いて捨てた
男の顔は もう知らない顔だった
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