見出し画像

詩| 果たして、それは。

「ありがとう」
それはまるで意味をなさない言葉だった

伝わらなければただの言葉の並びだった

しんに伝えたいものは
しんに伝えたかったことは
果たして本当に届くだろうか、と疑ってしまったから

「ありがとう」

それは軽かったのだろうか
それとも抱えられないほど重くなってしまったのだろうか
重くて重くて苦痛を感じてしまうほどだったのか


「ありがとう」
それはまるで意味をなさない言葉だった
ただの、五つの文字。

「ありがとう」

ただ言いたいだけなら言えばいい
伝わらなければ何の意味もないその五文字を。
口からはっしたいだけの言葉、なら。
軽くもなく重くもない、ただの言葉、なら。

「ありがとう」

それでも伝えたいと思う
心を込めた愛情を。

目を見て
心をすくって
手をとって

どうか、しんの意味を。
どうか、
どうか、と。

「ありがとう」

・・・それはまるで意味をなさない言葉だった。
それは、まるで。


「ありがとう」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?