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詩| 箱の中の狂気

この傷は 『愛されているから』。
すりこまれた感情が 心を歪ませる

じくじくと痛む身体は 幻想から目覚めさせるのに充分なはずなのに
麻痺した心は 沼につかったままだ

抵抗しなければいいだけのこと
そうしたら優しいままだから

傷が増えることもない
必死に隠すこともない

この傷は 『愛されているから』。
うわべだけの言葉を いまだに信じている

ここは 逃げ場のない箱だ
獣に囚われて
希望でさえも 粉々に砕かれる

この傷は 『愛されているから』。
この傷は 『愛してくれているから』。

ああ
もう傷はついていないのに
もう獣はとうに居ないのに

いまだに じくじくと痛む心は
いまだに 箱の中で
『愛されていたから』と
信じているのだ 

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