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詩| 追憶の紫苑

どうぞ 手をとって
片隅で 心もとなく 足を絡ませて
二人なら ずっと踊っていられると
踊っていられる、と夢を見させて

変わらない心が 凍りついたままで
日付だけが 数を重ねていく
置いていって
置いて行って
季節さえも 変わらないままでいい

淡い紫色に 心を寄せて
あなたの笑顔だけが 遠くへいってしまう
思い出はあたたかいままなのに
離した手のぬくもりに 水をかけて
現実と妄想の狭間はざまで呼吸ができる
やっと 息を吐ける

置いていって
置いて行って
一面 紫の、景色の中に
すべてに忘れ去られる二人でいい

どうぞ 手をとって
錆びれた永遠の中で もう声も聞こえない
追憶の紫苑しおん
遠く離れたままで 優しい微熱におかされて
いまだ 心を占めるあなたの傍に

あなたの傍にいきたい









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