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大学生散文|感情紀行記

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感情の動いた時を書き記す【感情紀行記】をまとめています。
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2023年12月の記事一覧

【感情紀行記】忙しない

 風邪やテスト、忙しない一週間が自分を置き去りにし、あっという間に過ぎていった。この数日間の間、筆が止まっていた。生活の中で考えたことも、感じたことも書き出すことがなかったのだ。書き出す時間がなかったのではなく、書き出すことがなかったのだ。  人間忙しいと周りが見えなくなるというが、本当に何も見えていなかったのだろう。自分の生活に、目の前の課題に必死だったのだろう。しかし、目の前しか見えていないことは、その時には気付けないもので、恐ろしい。時間にしがみつくので必死だった。も

【感情紀行記】秒針を押す風邪

 時計という箱の中に閉じ込められた空気を押し除けるように切り裂き、秒針が進む。早くしてくれ。心の底から願う。秒針が20回転すれば授業が終わる。エアコンから吹き荒ぶ冷風は体を芯から冷やす。限界に達した体調は、次の講義を欠席させることを決意させる。デジタルの時計を見ても数字は何も変化していない。とにかく早く終わってほしい、席を立ちたいという気持ちはさらに時間を進めるのを遅くする。  講義の終盤、急いで小テストを解き、次の講義を一緒に受けるはずだった友人に欠席の意を伝える。数時間

【感情紀行記】復興

 数日間の風邪との格闘の末、体調が徐々に回復してきた。週末の二日間に助けられ、勉学への被害は最小限に抑えられた。  月曜から始まる新しい一週間に倦怠感と、休みの気持ちを持ち込ませないために部屋の片付けを始めた。気力がなく、部屋に置き去りにされている衣服をクローゼットに畳んで仕舞いつつ、掃除機をかける。闘病に使った保冷剤やタオルも仕舞う。そもそも、風邪を引くときに熱が出るのは、体が戦闘モードに切り替わり、熱を発してウィルスなどの増殖を抑え、白血球など活動をしやすくするためのよ

【感情紀行記】熱すぎるうどん

 風邪を引いて数日間。ここまで断食に近く、何も食べられなかったのも久しぶりであった。留学中の一年間風邪を引いたのは一回だった。病院に行こうにも一週間後だとか言われて意味がよくわからなかった。  病気は、日常のありがたみを再確認させてくれる。特に近くにいる人にだ。海外での風邪も両親が電話で心配してくれたのはかなりの精神的安定に繋がった。最近受けた心理学の講義も、親しい人が近くにいたり連想すると困難な壁も少し楽に見えるというものだった。身近にいれば尚更だ。買い物から何まで全てや