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バイクプロテクターのCEマーク「信頼性や信用性は劣る場合がある」バイク系YouTuberホワイトベース二宮氏の発言を真面目に検証する

どーもパイセンです。
タイトルに検証すると書きましたが解説に近い内容です。

今回もみんな大好き、ホワイトベース二宮氏のポストから

このポストはバイク用プロテクターの性能について疑問を呈する内容のものです。
私は特に2つ目のポストの「自主的な認証は一般的な規格に比べて信頼性や信用性は劣る場合があります。それにもかかわらず、一部の企業や団体は、自主的な認証を行うことで、独自の基準に合致することを顧客にアピールすることがあります。」がどうにも引っかかってしまい、今回のnoteを書くことにしました。
まあ実際は控えめに言って、怒りに近い感情でしょうか?w
と言うことで今回のnoteはキレッキレでお送りしたいと思います。

最初に:このポストから読み取れるもの

まず、このポストから読み取れるものは以下の3つ
・CE規格は自主的に取得する規格で自主検査規格は信憑性が疑われる場合がある=CE規格の信ぴょう性を疑う
・CE規格は日本の安全基準を満たすといえるのか
・企業がブランディング(マーケティング)のために取得している=製品性能の信頼性は担保されていない
が読み取れます。
なので、今回はこの3つについて一気に解説していきたいと思います。
検証と言っておきながら早速「解説」と言ってしまいました(笑
ちなみに私は前職の業務と溶接や電工で少しばかりこの辺の制度に触れています👍

CE規格とは?

CE規格はヨーロッパ連合が規定する製品に求められる安全性や性能に関する基準「EN規格」を満たしたした製品に与えられるマークです。
EN規格はEU指令の下に定められた規格です。
規格=定められた基準、のことです。なんとも伝わりづらいのものですが、この記事を最後まで読めば何が規格かがわかります。
ついでに、今回は規格についての記事なのでEU指令についてはさっくりいきます。
EU加盟国それぞれが独自に国内法律を持っていますが、EU指令はその加盟国の政府に対して直接的な法的拘束力を持つ法律=絶対的法令って感じのものと思ってください。
EUでは、EU指令→EN規格→CE規格(CEマーク)になります。
日本では、産業標準化法+各監督官庁が定める法令→JIS規格(日本産業規格)→JISマーク(並びにその他法令に準拠した各種規格)になります。
どちらも国家規格です。
※EU加盟国はEN規格を自国の国家規格として採用することが義務付けられています。
※正しくは政省令だと思いますが、あまり馴染みのない言葉なので法令と記しています。

EU内で工業製品などの安全基準や環境基準として定められたEN規格から、EN規格で規定された基準を満たした製品にそれを保証する証として表示することが認められるマークがCEマークです。
逆にいうと、このEN規格が定める製品項目でCEマークを取得していない製品は安全性も信頼性もない製品ということです。後ほど「安全靴」を例に解説します。

身近にある規格=ISO規格・JIS規格・EN規格

・ISO規格:国際標準化機構が定める国際的な規格
・JIS規格:日本産業規格という日本独自規格(マークはJIS)
・EN規格:欧州通信規格協会が定めるEU独自規格(マークはCE)
国道を走っていると工場の壁に書かれているのを眼にするISO9001は簡単にいうと規定された工場環境と製造する品質の品質を保証する認証です。
JISマークやCEマークは家電製品やパソコン、スマホの本体や説明書を見ると記載されています。
※この記事は電気を扱わないのでIEC規格は無視します。

JIS規格やEN規格はISO規格に概ね対応している(安全靴で解説)

日本のJIS規格、EUのEN規格、世界標準化機構が制定するISO規格は概ね共通しています。
日本国内で「安全靴」として販売されている製品は、JIS規格で基準を満たしている製品のみが「安全靴」として販売できます。これはISOでもENでも同じ基準が採用されていて、耐荷重や素材についてほぼ共通した製品が「安全靴」として認証され販売されています。
例えば、つま先に保護板が入っていて、かつ自主検査で安全基準を満たす性能があったとしても、認証を受けていないと「安全靴」としては販売ができません。それはただの靴です。
ワークマンの安全靴カテゴリーを見るとJIS規格に対応した靴は「安全靴」、それ以外は「セーフティシューズ」と書かれていることがわかります。
ちなみにJIS規格非対応の靴を「安全靴」として販売すると罰則があります。
※安全靴を例に出しましたがJSAA規格は割愛
なぜ対応させているのかというと、現在はグローバルな経済圏なので環境基準や安全基準を世界中で合わせておいた方が輸出入で効率がいい、という感じです。

ISO規格に全てが対応しているわけではない

ただISO規格やJIS規格には存在せずEN規格には存在する、逆にISO規格やEN規格には存在せずJIS規格には存在する、と言った基準もあります。
日本で言えば建築・建設系のJIS規格はISO規格に存在しない日本独自に定めた規格があります。
バイク用プロテクターに関してはEN規格には存在するがJIS規格やISO規格には存在しない、と言った感じです。

※JISデータベースで検索したところバイク用プロテクター(保護具)系の規格は見つけられませんでした。もし「実はあるよー」という情報をお持ちの方はコメントをいただけると幸いです。

CE規格がEUで販売するために必要なものである

これは正しいです。
ただしCE規格が貿易を優先して存在するものではなく、性質としては国民の生命や財産を守る(侵害しない)機能が先にきます。
例えば上で挙げた安全靴で言えば日本製の安全靴をEUで安全靴として販売するにはCEマークの取得が必要です。
ただ安全靴の規格はJIS=ISO=ENなのでJISで安全靴の規格を満たしたものであれば、CEマークを取得することでEUでも安全靴として販売することが可能です。
しかし、安全靴でないものを安全靴として販売することはできません。
その安全性に疑いがあり、国民の生命や財産を侵害する恐れがあるからです。

これをバイク用プロテクターで見てみると、バイク用プロテクターとしてEUで販売するには、EN規格が定める基準を満たしCEマークを取得する必要があります。
安全が保障されていない製品を流通させることは国民の生命や財産を守れないためです。
もちろん違反が発覚すれば摘発されます。
以下、オフロードバイクプロテクターとして販売された製品が欧州規格EN 1621-1に準拠しないための撤去命令(CEマーキングの摘発事例データベース)

CEマークは該当製品でEU市場へ参入するためには絶対に必要なものです。
これはJISマークに該当する製品で海外企業が日本市場に参入する際も同じです。
しかしこれは、市場参入を優先して存在するのではなく、安全性や信頼性を保証し国民の生命・財産を守る(侵害しない)製品と認められるからこそ、市場への参入が認められる、と言う性質のものです。

まあ、EU圏内ではCEマークの無いバイク用プロテクターを「コスプレグッズ」としてなら販売できるかもしれません。

独自規格の信ぴょう性

国際標準化機構が定めるISO規格には約2万件の規格があります。ただ地域によってISO規格にはない独自の安全基準を設けています。
各地域の独自規格(JISやEN)だからと言って安全の信憑製が疑われるものではなく、その地域に合わせた厳格な基準を設けていると考えていいかと思います。
※F11T高力ボルトの遅れ破壊のような規格を満たしていても発生した特殊な例は除きます。
またISOで規格化されていない項目を、その国や地域が独自に規格化し厳格に管理を行うということは往々にしてあります。
日本で言えば1995年阪神淡路大震災後に厳格化されたSN材がそれと言って良いかと思います。

自主検査認証だから信憑製がないのか?

この項は少し長めです。

自主検査というとどういうイメージが浮かびますか?
「決められた条件で自社で試験して書類作って提出すればOK」でしょうか?
もっと雑にいうと「適当に試験して書類を出せばもらえる認証」ですかね?
ホワイトベース二宮氏がポストした「自主的な認証は一般的な規格に比べて信頼性や信用性は劣る場合があります。それにもかかわらず、一部の企業や団体は、自主的な認証を行うことで、独自の基準に合致することを顧客にアピールすることがあります。」
を見ると、そういったイメージだということがわかります。

それでは日本独自のPSEマークで話をしてみます。PSEマークも国家規格です。
ACアダプターのPSEマークは自主検査を行い自主申請し認証取得をします。認証なしで販売すると罰則があります。※企業は1億円以下の罰金
1製品につき概ね20万円〜のコストがかかると言われた記憶があります。該当する製品が100品目あれば2000万円〜のコストになります。

PSEの自主検査をざっくり説明すると、適合試験の合格証に書かれている工場が全数行い書類を発行、申請書類は企業(またはそれに属す代理人)が作成し、認証は認定機関が行います。
もちろん数字を改竄することは可能ですが、バレた際に相当なリスクがあります。
PSEでは不正マーク問題も一部でありますが、その製品で感電や火災などが起こったら販売企業は処罰され最悪潰れます。
大企業なら潰れはしなくとも、不正が発覚すれば回収、排除、停止命令等、相応の罰則が課せらるだけでなく、顧客へのブランドイメージも地に落ちます。

PSEではありませんが自主検査の不正問題だと、日野自動車の認証不正問題が有名かと思います。これは社内検査で不正が発覚した事件ですが約1年出荷が停止されました。

また不正ではなく書類ミスでの事例ですが、2001年にソニー(SCE)がPS oneでオランダ関税でソニーが事前提出していた書類ではゼロと書かれていたカドミウム検出量がコントローラーのケーブルから検出されたことにより、輸入差し止めと部品の交換を言い渡され、売上で130億円を失ったと言われています。
この提出書類はソニーが輸出開始以前に提出しているものなので、自主検査で作成したものでしょう。
恐らく検出されたカドミウム量は環境基準値以下であったものの、書類上ゼロのものが僅かでも検出されたため輸入差し止めを受けたものと考えられます。
これは仕様と異なる素材が生産工場で使われたことによって起こったものだと考えられます。2年後の2003年に施行されるRoHSに合わせて素材の環境基準をより厳格化する必要がある中で、書類を改竄する意味が全くないからです。
ソニー(SCE)の社内規格ではカドミウム量ゼロで製造仕様を作っていたにも関わらず、工場ではカドミウムを含んだ素材を使ってしまったか、別製品の素材に含まれるカドミウムが混入してしまったことで起こったものだと考えるのが妥当です。
しかし書類に不備があったとして輸入停止を言い渡されています。
※本件でソニーがRoHS違反をし処罰されたという情報がありますがそれは誤報です。ソニーはこの件で処罰は受けていません。またRoHSの施行は2003年からです。

このような大きなリスクを抱えながら、企業自らが適当な検査を許すと思いますか?

企業はコストとリスクを負いながらも経済活動を天秤にかけ規格に添った製品の開発を行い認証を受け販売へ繋げています。
PSEマークに話を戻すと、アメリカではULマーク、カナダではCSAマークが日本のPSEマークと同等の規格です。EU圏ではCEマークがそれに当たります。

JIS規格と同じようにEN規格で定められた安全基準を満たした製品に与えられるマーキングがCEマークです。もちろんACアダプターであれば日本では自主検査規格ですが、怪しい民間団体が適当に定めた権威付のためのそれっぽい規格というものではありません。先にも書きましたが、国家規格です。
モンドセレクション金賞やからあげグランプリ金賞とは訳が違います。
※からあげグランプリを運営する日本唐揚協会が怪しい民間団体と言ってるわけではありません!謝罪いたしますが例として使わせていただきます!!

PSEマークで言えば電気工事業法に基づく厳格な規格です。
CE規格は、EU加盟国に直接的な法的拘束力を持つEU指令に基づいて作られている厳格な規格です。

先にも書きましたが確かに不正が発覚した事件はありますし、現在進行形で不正を行っている企業もあるでしょう。

しかしそれを持って「信頼性や信用性は劣る場合がある」というのなら、この世にある規格マーキングが記された製品全てにおいてその信頼性や信用性が疑わしいと言っていることと同義であると言えます。

なぜ日本のプロテクターメーカーはEN規格(CE規格)を取得するのか?

これには市場規模と製品の信頼性の2つが考えられます。
まず市場規模では、日本の人口は1億2570万人(2021年)、EUの人口は4億4,673万人(2022年)で、EUは日本と比べ4倍の人口となります。
そして日本国内のバイク登録台数は1,029万台(2021年)EUのバイク登録台数は3,190 万台(2006年)です。統計に15年の開きはありますが、そこまで大幅に変わることはないと考えられるため、EU市場は日本市場に比べ3倍の規模があることがわかります。
単純な話、コストをかけて厳格な規格の認証を経ても市場規模が大きい地域で経済活動を行えばそれだけ利益につなげられるということです。

次に製品の信頼性です。
先に書いたようにJIS規格ではバイク用プロテクターの安全基準は存在しません。
であれば、もっぱら世界で最も厳しい安全基準を採用することが、その製品の性能を証明する近道と言えます。
単純な話、EUへ輸出する、しないに関わらず自社製品の信頼性を証明するためにはCEマークの取得が近道ということです。それだけ自信を持った製品開発を行っているということでことです。

私としては後者の思想が優先されていると考えます。
先に書いたように、CEマークはEU指令という法律を基に定められたEN規格の下に存在します。
バイク市場だけで見ればCEマークを取得せずとも、例えばアジア圏で適当なプロテクターを大量に販売した方が利益を生むで処す。にも関わらずコストとリスクを負いながらもCEマークを取得している意味を考えると明らかだと言えるでしょう。
逆説的にAmazon.co.jpでCEマークを取得していない激安プロテクターが溢れているというのがその証左ではないかと思います。
また国家規格は、製品の安全性や信頼性を保証し国民の生命・財産を守る(侵害しない)機能があることからも明らかかと思います。

参考資料(EUのバイク人口や事故件数)
https://www.jama.or.jp/operation/motorcycle/imma_report/pdf/attached03.pdf

なぜEUだけバイク用プロテクターの安全基準を持っているのか?

これは考察になります。
EUの二輪車(3輪バギー含む)の死亡者数は6,812 人(2006年)、年を合わせて日本の二輪車(原付含む)の事故死亡者数は1,119人(2006年)とEUでの二輪車死亡者数は日本の約6倍、人口比率でも約2倍となります。
例えばJIS規格は日本の独自規格ですが、その安全基準により国民の生命・財産を守る(侵害しない)機能を持っています。
同じように、EN規格(CE規格)も国民の生命・財産を守る機能を持っていると考えれば、EUではライダーの生命・財産を守る(侵害しない)ためにバイク用プロテクターに安全基準を設けていると考えています。
※ある地域に規格がないからと言ってその地域が国民の生命・財産を蔑ろにしているというわけではありません。

CE規格のバイク用プロテクターの性能は疑わしいのか?

ここまで読んでいただいて、
EN規格はバイク用プロテクターの安全基準を適当に定めるていると思いますか?
その安全基準の信憑性に疑いがあると言えますか?
プロテクター企業は金儲けのためだけにCEマークを取得していると思いますか?

という書き方をするとなんとも感情論のようになってしまうので、バイク用プロテクターのCE規格の試験内容を調べてみました。

実験の数値としては例えば脊椎プロテクターLevel2であれば50Jのエネルギーを9kNまで緩和する必要があります。
コミネのサイトによると2.5kgの鉄球を2mから落下させ、どれくらいの衝撃を緩和するかという衝撃試験が行われているようです。
「2.5kgの鉄球をたった2mから落とすなんて、そんなわずかな衝撃試験でバイク事故から人間を守れるわけがない!」と、物理や力学、工学に接していない方はそう思う方もしれません。ちなみに私も文系なのでそう思います。
ただ計算をすると、2.5kgの鉄球を2mから落とした際の衝撃は0.001秒時点で約135tもの衝撃になります。
これは高校物理の計算式で求められるのですが、計算はまた別の機会にnoteにしようと思います。
これが正しいか未だ不安なので現在衝撃に関する文献を読んで計算をしています。
実際、胸部プロテクターでは規定値が35kN≒3.5tなので、たった2.5kgの鉄球でも衝撃試験では数十トン以上の衝撃がになることは確かだと言えます。

まとめ

  • 二宮氏のポストにある規格であるが規格でないと言うような言い回しはそもそも言葉として破綻している。

  • EU加盟国はEN規格(CE規格)を自国の国家規格として採用すること義務付けられている。

  • CE規格はEU連邦が制定するEU指令(全加盟国に拘束力を持つ法律)を基にEN規格が規定する基準を満たした製品に表示が認められるマーキングである。

  • EN規格は、日本のJIS規格や世界標準化機構のISO規格と同等の規格と考えて良い。

  • 安全基準や製品の性能を示す規格は国民の生命・財産を守る(侵害しない)機能を持っている。

  • CEマークの表示が求められる製品はCEマークを取得しないとEU圏内でその品目として販売できないが、もちろんマーケティングの側面もあるものの、安全基準を満たした信頼性の高い製品の証と捉えて良い。

  • CEマークが必要な品目で認証を受けずその品目名で販売することはできない。※例:安全靴⇔セーフティーシューズ

  • CEマークはEU市場への参入を優先に存在するのではなく、安全性や信頼性を保証し国民の生命・財産を守る(侵害しない)製品と認められるからこそ、市場参入が認められる。

  • CEマークが必要な品目でもコスプレグッズやジョークアイテムとして別品目を騙ればCEマークなしで輸出販売ができるはず。※税関で没収される可能性はあるかも知れませんw

  • 海外企業が日本へ日本独自に定める規格がある製品を輸出販売したい場合、その認証を取得する必要があり、その中には自主検査認証のものも多数あるが、自主検査だからといって信頼性が劣るものでは無く、逆に信頼性の高い製品の証明である。

  • マーキングの自主検査は法令で定められた基準があり、基準を満たさなければ認証は得られない。

  • 国家規格はモンドセレクション金賞やからあげグランプリ金賞とは訳が違う。

  • 不正な検査で認証を受けた場合、不正が発覚した際の罰則は罰則金だけでなく業務停止や排除命令、認証取消など企業にとって大きなリスクがある。

  • 市場規模で見た場合、製品によってはCEマークを取得せずとも販売できる地域の市場の方が大きいにも関わらず、コストをかけてCEマークを取得するのは、製品の信頼性を数値で明確に表す姿勢が企業にあるから。

  • 製品の検査・試験を考察するには知識が必要!

  • JIS規格にバイク用プロテクターの安全性能を保証する規格がない以上、CE規格を持ってその信頼性が保証されてると考えて良い。

最後に:私が怒りに近い感情を持った理由

私は最初に「控えめに言って、怒りに近い感情」と書きました。
なぜそんような感情を持ったのかを書きたいと思います。

私は過去も現在も工業(製造・建築)に近い場所に身を置いています。
規格に添った製品の製造ではその努力と苦労と情熱と信念を目にしてきましたし、目にしています。
現場での安全管理にも厳格な規格が多くあり、面倒でもその規格に則って作業が行われます。まあ安全管理が適当な現場はありますが…苦笑
ちなみに安全管理に違反している会社は労基署に報告すると業務停止になったり社長が逮捕されたりしますw

これは全て、消費者の生命・財産、作業者の生命・財産、ひいては国民の生命・財産を守るため、過去の災害や事件・事故、そして多くの犠牲の上に規格化されたものです。これからも規格は改善を繰り返し新たな規格が設けられていきます。

そして製造に携わる人の多くは誰かの生命や財産を脅かす可能性が自分にあると知っています。
例えば先日東京駅近くで起きた建設現場での落下事故では、建設に携わる多くの人達が心臓を掴まれるような感覚を持ったと思います。
自分があの作業をしていたら…?ではありません。
玉掛け作業員、クレーン・レッカー作業員、溶接作業員、ワイヤー・リベット・鉄鋼メーカー、ゼネコン担当者といった、あの現場に関係なく日々建設現場に携わる多くの人達です。
もしかしたら自分の作業、製品、安全管理が誰かの命を奪ってしまうのではないか…と。

もちろん各種規格マークをより優れた製品の証として認証を受けることはあるでしょう。
しかし、国家規格として定められた安全・性能基準を満たしていることを証明すると言うことは大変な労力が必要なことです。
こう言った基準を満たすためには多くのコストがかかります。そしてリスクを伴います。
得体の知れない素材は使えません。多くの開発コストがかかります。自社開発でない場合は仕入れ原価にその開発コストが上乗せされています。
例えばバイク用プロテクターメーカーのコミネで見れば、多くのプロテクターがCE規格に準拠し、それを低価格で販売しています。これはコミネという企業の弛まぬ努力の証であるということは想像に難くないはずです。
企業は人です。多くの人達が開発・製造・販売に関わっています。その人達の努力と苦労と情熱と信念が、高品質で低価格な製品を世に送り出しているのです。

CE規格はJIS規格と同等の国家規格です。
適当に造って適当に検査して適当に書類を作って提出したらいいと言うものではありません。
もちろん不正を行う企業はあります。日本国内でも発覚した不正事件はあります。
しかし多くの企業がコストとリスクを負って真面目に取り組んでいます。それは製品の先には必ず消費者の人生があることを知っているからです。

それを針小棒大「自主的な認証は一般的な規格に比べて信頼性や信用性は劣る場合があります。」などと言うのは、無知蒙昧も甚だしい、バイク用プロテクターに対する持論を押し通すための詭弁、欺瞞とし言いようがありません。

感情的に申し上げますと、
「はぁ!?製造業バカにしてんの!!?(怒」
そもそも一般的な規格ってなんだよ!?定義を言ってみろ!」です。

という感じで、普段温厚な私ですが久しぶりに感情的になりました(*´꒳`*)テヘッ

まあ仮にホワイトベース二宮氏が、
CEマークを掲げたプロテクター全てを「自主的な認証品は信頼性や信用性は劣る場合ある」と言い続けるのであれば、なるほど発言に一貫性がある男気溢れる人間だ!と絶賛いたします。
逆にプロテクターメーカーとコラボなどして性能を絶賛したのならそれはもう二枚舌でしかなく、コラボしたメーカーもお笑いものです。

おまけ1:このポストには何かが足りない

私は今回のホワイトベース二宮氏のポストを目にした時、なんとも言えない違和感を覚えました。
それは「なにか大事なものが足りない」という直感です。すぐにそれが何かわかりました。

ここまで読んで頂けた方なら、件のポストから受ける足りなさの違和感に気づくと思います。

CEマークは確かにEU圏内である種の製品を販売するために必要なマーキングです。日本で言えばJISマークです。
日本の場合はJISマーク=JIS規格なのでわかりやすいです。
EU圏では?CEマーク=EN規格です。
そうです。「EN規格」のワードが足りないのです。
EN規格はJIS規格やISOが定める安全や性能、信頼性を保証する規格と同等の規格です。

私としては、CEマークを語る上での「EN規格のワードの欠落」もともと備わった知識や情報からたまたま欠落したものとはどうにも考えづらいのです。

おまけ2:chatGPTに聞いてみた

話は変わりまして、chatGPTに「CE規格について教えて?」で聞いてみたところ以下の回答が返ってきました。

この回答ではEU法令・EU指令は合計8回、CE規格は18回出現します。一方EN規格は最後の行に1回のみです。見落としてしまうような出現頻度ですね。
そして、chatGPTはEN規格についての説明(回答)は無く、EU法令・EU指令に基づいてCEマークの回答をしています。
これは例えば誰かから「JISマークって何?」と質問された際に産業標準化法から始めるようなものです。
私なら、安全性や性能を保証するマークであることと合わせて、自分が持ち合わせる知識(溶接・建築・電気通信機器・労働災害等)を基にJIS規格の説明から始めます。

今度はchatGPTに「JISマークについて教えて」と聞くと法的根拠は一切言及されず、「JIS規格について教えて」と聞くと「日本工業規格」として説明されます。
英語表記は変わりませんが、日本工業規格は2019年に「日本産業規格」に改められています。要は「日本工業規格は現在存在しない」ということです。

JIS規格について教えて

chatGPTってポンコツですねw

それでは今回のnoteはこの辺で

ご拝読ありがとうございましたパイセンでした。

追伸

バイク用プロテクターを着用していても、もちろん死亡することはあります。
大したことない事故でも例えば首一点に力が掛かるような衝撃があれば死亡するでしょうし、規定以上の運動エネルギーが加われば衝撃を緩和することはできません。
ただ計算をしていくと、CE規格が定める基準の厳しさとプロテクター企業の努力にテンション爆上がりしてしまいます。
ということで、そのうちバイク用プロテクターの計算もりもりnoteを書こうと思います。

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