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「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」感想

2023/12/11 更新分

最近X(旧:Twitter)で「ゲ謎が面白い」「因習村」というポストをよく見るので気になって「ゴジラ-1.0」と一緒に観てきた。

鬼太郎の誕生秘話が描かれるということで、今まで鬼太郎5期とウエンツ瑛士しか見たことがない自分が楽しめるのかちょっと心配だったけれどその心配は杞憂だった。一つの独立した作品としてとても面白かった。

昭和31年を舞台に、出世のために哭倉村に赴いたサラリーマン水木と行方不明の妻を探すゲゲ郎(鬼太郎の父)との奇妙な友情を描いた作品で、
その部分が「鬼太郎エピソード0」としての文脈を抜きにしてもよかった。

物語の舞台「哭倉村」の因習、そこに住まう「龍賀家」の秘密が徐々に「明らかになってくるのだが、それがどこまでも醜く、そして酷い。
人間の、自分のエゴのためならどこまでも弱者を搾取し利用する様というのがこれでもかと描かれるし、それは水木自身も同じだ。

だからこそ
鬼太郎の母、そして水木とゲゲ郎の他人を思いやる気持ちが尊く思えるし印象に残る。

ラストの記憶を無くした水木が鬼太郎を発見する場面はその愛の結実だろう。

そうして生まれた鬼太郎が父たちが残してしまった村の人々の怨念に終止符を打つという終わりも美しい。

水木しかり作中の人間の「他人を出し抜いてでも生きる」という姿勢に対しゲゲ郎が言った「お主にもいつか自分より大事なものが現れる」という返しがこの作品の本質な気がした。

あと
ゲゲ郎と幻治との戦闘の作画すごかった。
ただ作画が綺麗なだけでなく、止め絵の時はカチッと決まってて、動くシーンは思い切り動かす。静と動の緩急がとても見てて心地良かった。

昭和31年の舞台設定とそれを感じさせる演出の数々しかり、人間関係の変化の描写がはっきりというか細かく丁寧に描かれてたりとかで
一回視聴だけで全て咀嚼しきれなかったのが本音だ。
ただそれでも面白かったし
鬼太郎についてもっと知識つけてからもう一度見返したくなった。








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