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どうしても忘れられないゲーム〜その2『アルカノイド』(1986年)(後編)

19歳の夏の思い出として己に深く刻まれているアルカノイド。実はオイラ、10数年程前にヤフオクでテーブル筐体を発見、落札&入手しています。当時の落札価格で確か3万円くらい。筐体の状態も比較的綺麗で、しかもちゃんと稼働する筐体でした。

入手した直後は「タダでアルカノイドやり放題!昔のオレに自慢してやりたいぜ!これぞサクセス!グヘヘ!」なんつってやり倒したりしたのですが、自分は大山のぶ代さんではないので、次第に飽きてきてゲーム機から“CDとかDVDとかマンガとかを積んどく場所”になっていきました。

暴走アルカノイド

そして先日。久しぶりに“懐かしい旧車に乗りたい感覚“でCDの山をどかして電源を入れてみたのですが、なんと画面が謎の暴走をし始めたのです。「すわ!コンピューター文明の反乱か!もしくは爆発⁈」と、一瞬ビビったオイラでしたが「でもこれアナログの機械だからひょっとして叩けば直るんじゃね?」と、昭和脳丸出しでテーブルの上の方をチョップ。反応ナシ。次はもうちょい強めで下側を。ダメだ手が痛いわ。そして画面は相変わらず怖いまま。

ゆがんだ画面

こりゃマズい。本格的に壊れた。修理しなきゃ……まてよ修理⁈ コレいったいどこに出しゃいいんだ?全然思いつかねぇ。思い切って製造元のタイトーに連絡してみるという手もあるぞ。でもそもそもブラウン管が死んでたらさすがのタイトーもお手上げじゃん!ぷしゅ〜。

思案の末、オイラの脳内に1人の人物が思い浮かびました。Facebookで偶然知り合いになった袴田さんというアーケード関係の仕事をしていて、アーケードゲームのコレクターもしている方です。しかもちゃんとおっさん。それなら話が通じるはず。

無理を承知で袴田さんに連絡を取ってみると、「直せるかもしれないので一度持ち込んでください」との事。オイラは草野球チームの監督権限を行使し「今回はゲーム機を運ぶトレーニングだ!皆の者集まれー!」とチームメイトを招集。運ぶのを手伝ってもらい、袴田さんのところにアルカノイドのテーブル筐体を持ち込んでみたのです。

開ける袴田氏

袴田さんは実際にお会いしてみると、フレンドリーな職人気質の方でした。レトロゲームやアーケードゲーム業界のことを話しだすと止まらなくなるタイプの。昔のゲームの思い出話が次から次にマシンガントークで展開され、途中からこちらの理解度の先にどんどん加速して進んでいってしまうので、そうなるとこちらとしてはニコニコしながら「そうすねえ」「なるほど。いいすねぇ」で後をついていく感じ(笑)そんな面白おじさんの袴田さんに筐体を預けることにしました。

ツーショット

診断結果の報告

袴田さんにアルカノイドを預けて数日後、現状の報告がありました。どうやら画面流れの故障と電源ユニットの不具合が不調の原因との事。ブラウン管は修理をしてくれる業者があるらしく(なんとこのご時世に!)修理に出す事になり、電源ユニットは新品と交換になりました。袴田さん曰く「基板が死んでなかったのが幸いでした」とのこと。良かった。こりゃなんとかなりそう。

ブラウン管
電源ユニット
ニュー電源

そしてさらに袴田さんからナイスな提案が。この筐体は1Pサイドにしかコントローラーがついておらず、しかもそのコントローラーが本来は2Pサイド用の物の流用らしいのです。そのために、本来はあるはずのプレイスタートボタンが無く、代わりにダイヤルサイドに付いている左側ボタンにスタートボタンの機能が割り当てられていたのです。でもそうなると若干の問題が発生します。

コントローラー2P

アルカノイドはアイテムを獲得すると、その効果によって攻撃ボタンでタイルを攻撃する事が出来ます(レーザーとかキャッチとか)。自分は右手でダイヤルを操作するタイプなので、その場合右側の攻撃ボタンを左手で操作するときに手をクロスさせなくてはならなかったのです。これがマジでイラつく。集中力を削ぐ。

このイラつきの解決策としてパネルにスタートボタンをサービスで作ってくれるというのです!ヤダもう素敵!しかも筐体を愛する人じゃないと思いつかないヤツ!さらに筐体本体の左下にコイン投入の代わりのクレジット機能のボタンまで配線&取り付けをしてくれたのです。今まで律儀に毎回100円を入れてプレイしていたオイラにとってはこの上ない贈り物!袴田さんマジでありがとう!

ドリル
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まさかのどんでん返し!

そして更に数日後。袴田さんからブラウン管の修理が完了&まともに画面が表示されるようになったとの報告が到着しました。隅々までクリーニングもしてもらい、しばらくは大丈夫でしょうとのこと。しかし、いよいよ袴田さんのところにアルカノイドを迎えに行こうとしていた当日の朝、袴田さんから突然連絡が飛び込んできました。「瀧さん大変です!昨日まで元気に映っていたブラウン管が突然今朝死にました!」との事。マジすか⁈タッチじゃねえんだから(笑)

袴田さん曰く「昨日までは快調で、私も数プレイしたりしてちゃんと遊べたんですが…」との事。まあ35年前の筐体なので35年前のテレビのブラウン管がダメになったと考えれば無理も無いこと。これはさすがに寿命でしょう。まあこのタイミングで良かったのかもしれません。ウチに持って帰ってからそうなるよりは。ということで、ブラウン管が死んでしまった対策を話そうと午後に袴田さんのところに伺ってみると…。

ちゃんとアルカノイドが動いてる!

復活

なんとアルカノイドが息を吹き返していたのです!袴田さんが機転を利かせて、急遽作業場に転がっていた中古の液晶モニタをブラウン管の代わりに載せ替えてくれていたのです。さらには液晶モニタ用のアップスキャンコンバータも増設して!凄いぜ袴田さん!そこまでしてくれるなんて!

ビデオボード

袴田さんのゲーム愛と献身的な作業のお陰でオイラのアルカノイドは遂に息を吹き返しました。復活です。液晶パネルに載せ替えたときによくある画面表示の遅延も念入りに調整してくれたお陰で全然気になりません。マジですげえ!1986年製のゲーム機を直せるなんて。こういう人がいてくれるだけでありがたいと思えました。袴田さん今回は本当にありがとうございました!大感謝です!

ちなみに修理代はみなさんから頂いたサポートのお金から捻出させて頂きました。オイラにサポートをくださった皆さん、本当にありがとうございました。そう考えると、オイラのアルカノイドを直してくれたのは全てネットのお陰とも言えます。Facebookのお陰で袴田さんと出会い、noteで応援してくれる皆さんのお陰で無事に修理する事が出来ました。う〜む、ネットのパワーってスゲぇわ!19歳の当時のオイラにこのことを話してやりたい!でもきっと理解出来ないだろうな!(笑)

決め


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