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パリ2024:IOC、アスリートの意見表明ガイドラインを決定

オリンピックに参加する者が遵守しなければならないルールである「オリンピック憲章」において、「いかなる種類のデモも、政治的、宗教的、人種的なプロパガンダも、オリンピック会場、競技場、その他の場所では許されない」と規定されています(50条2項(Rule50.2))。
これは、オリンピックは、国籍や人種、宗教などを超え、様々な価値観を有する者が参加する平和の祭典であり、そのためには、オリンピックにおけるスポーツは中立的なものであり、政治的、宗教的、その他のいかなる種類の干渉からも切り離されていなければならないという基本原則があるためです。
一方、アスリートも一人の人間として尊重されなければならず、自由な意見表明が認められるべきです。
このため、国際オリンピック委員会(IOC)はRule50.2の具体的なガイドラインを毎大会 公表しています。

今回もIOCは、2024年パリオリンピック期間中にアスリートが意見表明できる場所と禁じられたテーマを定めています。

パリオリンピックに参加する選手は、開会式と閉会式、メダルセレモニー、競技中、そして選手村 滞在中の5つの場面を除き、自由に意思表明することができます。

選手がメディアと交流するミックスゾーン、プレスセンター、記者会見、インタビュー、チームミーティング、伝統的またはデジタルメディア、ソーシャルネットワークなど、一定の条件のもとではありますが、選手が自らの意思表明を行うのに適切な場所となります。

IOCが発表したルールによれば、選手はオリンピズムの基本原則を尊重し、個人、組織、国への攻撃を控え、所属するオリンピック委員会や連盟の指示に従わなければならず、「破壊的な行動」を避けなければいけません。

破壊的な行動とは、例えば、他の選手の「プレゼンテーションや国歌斉唱の最中にコメントをする」ことや、その瞬間に旗や横断幕を掲げることなどが含まれるそうです。

これらの規則に従わない場合、違反行為に応じた懲戒処分が下される可能性があります。

東京大会をきっかけに、これまでのオリンピックでは完全に禁止されていた意思表明への扉が開かれました。このため、イギリス、チリ、アメリカ、スウェーデン、ニュージーランドの女子サッカーチームの選手たちは、人種差別に抗議するため、試合前にピッチにひざまずいたりしています。

今後もオリンピックは政治的な意思表明の場となっていくのでしょうか。
世界中で色々な紛争が起きる中、注目していきたいと思います。



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