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北極海の海氷面積が2023年に過去最低を記録する見込み

最新の研究では、2030年代には北極圏の夏の海氷(かいひょう)がほとんどなくなる可能性があることが分かりました(これまで考えられていたよりもおよそ10年早く)。科学者によると、海氷の融解の90%は人為的な地球温暖化の結果であり、極端な排出削減策を講じたとしても、この地域の夏の氷を救うにはもう手遅れとのことです。

研究チームの一員であるドイツ・ハンブルク大学の Dirk Notz 教授は「科学者として、私たちは何十年も前から北極の夏の海氷が失われることを警告してきました。この海氷は、地球温暖化によって失われようとしている地球システムの最初の主要な構成要素なのです。しかし、人々は私たちの警告に耳を傾けなかった。このことは、地球システムの他の構成要素について私たちが行った予測のようなものが、今後数十年の間に展開され始めるという、新たな警鐘を鳴らしています。」と訴えています。

以下の表は、米国立雪氷データセンターのデータを用いて、北極の夏の海氷が、10年ごとにほぼ13%ずつその被覆を減少させるという傾向を表しています。2020年は、1979年の記録開始以来、最も海氷が融解し、夏の暖かい時期に続いて、9月にはわずか400万km²の海氷面積を記録しました。しかし、このグラフが示すように、北半球では冬の氷も後退しており、今年の1月と2月には、歴史的な低水準の面積を記録しました。

北極圏の温暖化は、世界の他の地域よりも早く進んでいます。これは主に北極の増幅現象によるもので、太陽光をよく反射する白い氷が溶け、その下に放射線をよく吸収する暗い海水が残るため、より早く温暖化するそうです。実際、北極は過去40年間に世界の他の地域よりも4倍速く温暖化しており、これはIPCCが予測したよりも2倍速いスピードでした。

State of the oceans 2023 report の Statista アナリストは、この海氷の減少は北極圏の海岸線の浸食を加速させるだけでなく、世界の気象パターンに影響を与えると説明しています。
同時に、天然資源が豊富なことで知られる北極に新たにアクセスできるようになることで、人間活動が活発化し、北極の生態系がさらに乱されることも予想されています。

北半球 海氷面積推移


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