怖いもの知らずのハリネズミ

 人間関係には賞味期限がある。その長さは、保存状態によるけれど。
 浅い関係はすぐに切れる。これは誰しもに当てはまるだろうが、特に問題ではない。関係が切れても何も感じないから。逆に浅くても続く関係は、案外大事だったりする。さらに利害もリスクもストレスもなければ、ちょうどいい距離感なんだと思う。たまに会う高校や中学の友人が当てはまるかもしれない。私にはいないけど。(やっぱり浅すぎると切れるみたいだ。)
 逆に深い関係というのは、私の場合、そんなに長くはもたない。私の中では、深い関係性というのは、自分の考えや感情を話せることと同義だ。けれど、結局自分のことを話すということは、弱点をさらすことになる。人に話すというのはかなり依存性があるもので、ついつい知られたくないこともしゃべってしまう。そして、だんだんその関係性が怖くなる。なにしろ弱みを握られ過ぎてしまっているから。
 知って欲しいけど知られたくない。依存による執着と恐怖の葛藤が頂点に達したとき、私はその関係性から逃げてしまう。
 仲が良かったのに、急にそっけなくなったり、拒絶したり。相手からすると理解不能な行動に行く着いてしまうのだ。
 おそらく、たいていの人は、近いづいたり離れたりして、うまい距離感をつかむのだろう。所謂ハリネズミのジレンマを抱えながら。
 けど私の場合、防衛本能の麻痺した、ある意味怖いもの知らずのハリネズミだから、近づき過ぎて、後からとんでもない傷を負っていることに気付く。それでもなお近づいてしまう。耐えられなくなるまで、長くて3年。
 人間関係には賞味期限がある。それでも短い間の充実を目指すか、冷笑的になるかは別の話。

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