年功序列が既得権益になっている
昔、知人と京都に行ったとき、ぎゅう詰めのバスに乗った。身動きが取れないくらいだったが、バスが停まるたび、人はどんどん入ってくる。そんなとき、優先座席だけ空いていた。真面目そうなお兄さんは、座ればもう少しスペースが空くだろうに、頑なに座らない。私はすきを見て、連れと一緒に優先座席に座った。
2、3駅行ったところで、5人くらいの観光客らしきジジババが乗ってきた。割と筋肉隆々だが、60代くらいだろうか、1人のジジが、ぎゅう詰めの中、人を押しのけ、空いていた優先座席に腰を下ろした。丁度私の連れの隣。
その1人のジジは仲間のジジババに「優先座席に座りな」と言う。遠回しに私達にどけというわけだ。どけと面と向かっては言わないが、「優先座席は高齢者が座るものだ。」という発言を繰り返していた。こんなことも言っていた。
「韓国に行ったとき電車に乗ったが、やっぱり韓国は年功序列がしっかりしていて、僕なんかが行くとすぐに席を譲ってくれる。そこらへんは素晴らしい国だよね。」と優先座席の前の真面目そうなお兄さんに話していた。聞こえよがしに。
文句を言おうと思ったが、一緒に来た知人に迷惑はかけられないのでやめた。
優先座席はかなり奥深い問題だ。色々な論点がある。
今回の出来事でまず言えるのは、優先座席は年功序列を体現したものではない。立っているのがしんどい人を優先して座らしてあげようみたいものだと思う。また、しんどいと言えど優先座席に座らせるために、乗客を危険にさらして座席まで移動させるのは合理的ではない。
あのジジがしていたことは、これらの論点からおかしいと思う。
このように、移動することが危険なほどのぎゅう詰めの状況を見ても、年功序列を既得権益にして、ズカズカ優先座席に座ろうとするあのジジに、かなりの怒りを感じてしまった。
そろそろ年功序列を壊していかないと、年がいっていることを既得権益だと思ったジジババがのさばることになる。今がそういう時代か…。
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