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バタール

びっくりした。こんなに美味しいパンだったのか。

とにかく気持ちが沈んでいた。前を向きたくて、自分の機嫌をとりたくて、買ったことのないバタールを買った。見た目だけで買ったので、バタールのことをフランスパンだと思っていた。買った後に気が付き、食べ切れるだろうか?と頭を抱えた。そういう時は大体うまくいかないのでいつもあとから不安になる。

パンを抱えて街を歩く。パンの良い香りがして、幾分気分が良い。フランス人はいつもこんなことをしているのか?と思ったが、こんなに良い香りがするならそりゃ買うだろうと帰宅前には考えが変わっていた。早く食べたい。美味しいといいなあ。

バタールを斜め切りにして、グリルで焼く。良いポタージュも準備した。こんな時じゃないと、勿体ぶって食べないからだ。グリルを開けるとパンの香りが広がる。良い匂い。バターを塗って、その場でかぶりつく。パリパリパリと音がした。噛むとモチモチする。鼻からパンの香りが抜ける。

なんて美味しいんだろう。こんなに美味しいものを私は食べていなかったのか。後悔するような衝撃的な美味しさだった。ポタージュにつけて食べても美味しくて、どんどんなくなっていった。

母にもお裾分けしたが、おかわりして食べていた。そうでしょう、そうでしょう、このパンはとっても美味しいんだから。月に1回くらいいろんなパン屋のバタールを食べてみたい。良いものを食べたと思った夜だった。

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